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5月の消費者信頼感指数 11か月ぶりの最低値に

 タイ商業会議所大学(UTCC)景気予測センターが六月四日に発表した五月の消費者信頼感指数は75・6ポイントとなり、四月の76・6ポイントを下回った。同指数が前月比で低下するのは5か月連続。指数は直近の11か月間で最低水準に落ち込んだ。

 消費者はタイの景気回復の不確実性を懸念している。輸出の収縮が続き、農産物価格、特にコメと天然ゴムの価格が低迷している結果、購買力は全体として上昇していない。

 現在の信頼感指数は四月の58・0ポイントから56・8ポイントに低下し、6か月先の同指数も四月の83・8ポイントから、五月には82・
8ポイントへと下落した。同センターは第2四半期も消費は大して回復しないと見ている。消費の回復が早まるか、それとも遅れるかは、輸出の回復が遅れる中、政府の投資支出が加速するかどうかにかかっている。政府が予算執行を加速させることができれば、民間消費は下半期に回復すると期待されている。

 五月には国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局が、今年第1四半期の経済成長率が3・0%増となり、二〇一四年第4四半期の2・1%増から上向いたと発表した。支出面では民間消費、政府投資とサービス輸出が貢献した。生産面では建設業、ホテル・レストラン、運輸、製造業を初めとする、ほぼすべての業種で上向いた。

 しかしNESDB事務局は二〇一五年の経済成長率予測を3・5~4・5%増から3・0~4・0%増へと下方修正している。輸出が上向かないことが主因で、物品輸出の成長率は3・5%増から0・2%増へと大幅に下方修正した。世界経済の回復が遅れ、世界市場の農産物価格と原油価格が低迷していることが理由。

 五月にSET株価指数は、四月末時点の1526・74ポイントから五月末時点で1496・05ポイントへと30・69ポイント下げている。また国内の燃油小売価格は上昇した。オクタン価91ガソホールと同95ガソホールの小売価格は1リットルあたり0・50バーツ上昇し、四月末時点のそれぞれ27・68バーツ、28・50バーツから五月末時点でそれぞれ28・18、29・00バーツに値上がりした。また軽油の小売価格は1リットルあたり0・50バーツ値上がりし、四月末時点の25・49バーツから25・99バーツに上昇している。

 四月のタイの物品輸出額は169億42万ドルにとどまり、前年同月比1・70%減少した一方、輸入額は174億2334万ドルで前年同月比6・84%減となった。この結果、貿易収支は5億2292万ドルの赤字だった。一~四月の輸出額は702億6523万ドルで、前年同期比3・99%減、輸入額は693億5933万ドルで、同6・53%減となった。この結果、貿易収支は9億589万ドルの黒字となっている。

 農産物価格は前年同期に比べて低い水準にとどまっている。とくにコメ、天然ゴムの価格が下落している。さらに旱魃も農業生産に影響を及ぼしているため農業所得が低迷しており、地方の購買力は上昇していない。

 五月のバーツ相場は下落した。バーツの対ドル・レートは四月末時点の1ドル=32・516バーツから五月末時点では同33・559バーツに下落した。このことは外貨の純流出を意味している。このほか消費者は、インフレ率こそマイナスになっているものの、生活費と諸物価が高止まりしていると実感している。また世界経済の不確実性に関する懸念も依然として残っている。

 景気全般に対する消費者信頼感指数は、前月の66・0ポイントから65・0ポイントへと悪化した。前月比での低下は5か月連続。現在の景気に対する信頼感指数は54・4ポイントから53・2ポイントへ、6か月先の景気に対する信頼感は77・6ポイントから76・8ポイントに悪化した。

 雇用機会に対する消費者信頼感指数は、前月の71・2ポイントから70・3ポイントへと悪化している。前月比での低下は5か月連続で、直近の11か月間で最も低い数値となった。現在の雇用機会に対する信頼感指数は61・5ポイントから60・5ポイントへ、6か月先に対する信頼感は80・9ポイントから80・2ポイントに悪化した。

 将来所得に対する信頼感指数は前月の92・7ポイントから91・4ポイントへと低下した。前月比での低下は5か月連続で、直近の12か月で最も低い水準となった。消費者の大半は将来所得が大きく減ることはないと見ているが、農産物価格が底ばいしていることと景気回復が遅れていることに懸念を抱いている。


日付 : 2015年06月08日

By : 週刊タイ経済

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