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タイ企業の対日投資 再生可能エネなどで期待

 日本貿易振興会(ジェトロ)の石毛博行理事長は五月二七日、日タイの企業200社の経営幹部が出席したジャパン・シンポジウムでの講演で、タイ企業の対日投資を呼びかけた。同シンポジウムはタイの商業会議所、工業連盟、銀行協会の合同常任委員会が主催したもの。ジェトロは海外企業の日本への直接投資の誘致活動に取り組んでいる。石毛理事長は日本政府が法人税を20%に引き下げる予定でいるなど、対日投資を支援していることをアピールした。

 石毛理事長は、UNCTADのデータからタイの海外投資が二〇一一年に106億ドル、二〇一二年には129億ドルまで増えていることを指摘。タイ企業は対日投資で高いポテンシャルを有していると述べている。タイ人投資家は、特にメガソーラーなど日本での再生可能エネルギー分野への投資で機会を探究しているところ。タイからの日本への直接投資は昨年に1億5400万ドルを数え、外国人直接投資で上位10か国入りを果たしている。石毛理事長は、日本政府がエネルギー・ビジネスでの政府による統制を緩和し、民間の投資家に投資機会を提供すべくエネルギー政策の見直しを計画していることも伝えている。

 タイ人投資家による対日投資は、不動産セクター、リゾート、旅行分野などが期待される。タイ人投資家の投資で、日本で最も有名なのはタイ料理レストランで、食品業界では今後さらなる対日投資が期待される。

 同シンポジウムで講演したサイアム・セメント・グループ(SCG)のカーン・トラクンフン社長兼CEOは、M&Aを通じて日本に橋頭堡を築こうとしていることを明らかにしている。SCGは付加価値向上のための方法を探し求めるため、海外の中小企業の買収を模索しているところで、日本はターゲットとする国の一つだと述べている。カーン氏は数年前より対日投資を研究しているとし、日本企業買収の理由として、日本企業がイノベーションと独自技術を有することが自社の戦略と合致すると説明している。SCGは30年以上にわたるクボタとの合弁事業などを通じて、日本企業と強いパートナーシップを有している。

 プリディヤトーン・テワクン副首相は基調講演で、日本がタイの物品輸出にとって2番目に大きい市場であることを指摘。このところ対日輸出は収縮を続けているものの、収縮幅が縮小に向かっていることから下半期には上向くことを期待していると述べている。

 チャッチャイ・サーリガンヤ商業相は六月三日から六日の日程で日本を訪問した。宮澤洋一経済産業大臣と会談したほか、経団連を初めとする日本の経済界のトップとの会談などを精力的にこなした。タイ日間の貿易と投資を振興することを目的としたミッションを率いて訪日したもので、今年最初の4か月間にタイの日本向け輸出が落ち込んでいることで急遽、ミッションの派遣を決めた。日本経済に回復の兆しが見られることから、貿易・投資の促進を通じて両国関係の強化に努めるのにちょうど良い機会になると判断した。二〇一四年のタイから日本への物品輸出は前年比1・9%減となったが、今年の商業省の目標は前年比2%増に置かれている。

 国際貿易振興局によると、今年最初の4か月間のタイから日本への輸出額は67億3000万ドルで、前年同期比7・8%減となっている。しかし四月に限れば、前年同月比3%減で、収縮幅は縮小に向かっている。対日輸出の収縮の背景にあるのは、日本の景気低迷と円安で、日本の輸入そのものが収縮していることが響いている。昨年の日本のタイからの輸入は日本の輸入額全体の2・68%に過ぎなかったが、今年第1四半期のそれは3・14%に上昇している。


日付 : 2015年06月08日

By : 週刊タイ経済

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