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バーツ相場が1ドル=34バーツ台に 6年ぶりのバーツ安水準

 七月八日の外為市場ではバーツの対ドル・レートが1ドル=34バーツ台に下落した。中国経済の減速による中国の株安とギリシャのユーロ離脱危機で、リスク資産が売られる展開となっており、タイを含むアジアの株式市場も下落し、アジア通貨は軒並み下落している。

 中国経済の減速は、ギリシャ危機以上にタイの経済に及ぼす影響が大きい。中国はタイにとって1番目に大きな輸出先で、今年最初の5か月間にタイの物品輸出全体の11%を占めている。中国はタイにとって最大の観光客市場でもあり、今年上半期にタイを訪れた中国人観光客は400万人以上、観光収入は1910億バーツを数えている。上海株式市場の八日の上海総合指数は前日比5・9%減の大幅続落となった。直近の3週間で同指数は30%以上下落しており、中国経済はバブルが崩壊したのではないかとの見方が強まった。

 八日のタイ外為市場では、バーツは3日連続の下落となり、1ドル=34バーツ台に下げている。ブルームバーグによれば、バーツは過去3か月間に4・3%下落しており、アジア通貨では2番目に大きな下落率となっている。ある地場商銀の通貨ディーラーは、バーツの弱基調は当分の間続くと予想しており、1ドル=34・20~34・30バーツの水準に下がると見ている。通貨ディーラーは、中国政府の新たな株価対策を監視する必要があるとしている。

 中国経済の減速は、グローバル・マネーマーケットの動揺をもたらしており、安全な通貨とされるドルや日本円などは強くなる一方、経済に影響が及ぶタイ・バーツは下落することになる。海外投資マネーのリスク許容度は低下しており、投資家はタイを含むASEAN諸国のリスク資産の売り姿勢を強めている。

 中国の株安は、中国株で運用する海外投資ファンド(FIF)の正味資産価値(NAV)を下落させているため、タイ国内の投資家にも損失が及んでいる。クルンシー・チャイナ・エクイティ・ファンドのNAVは七日現在、五月末時点から13・19%減少している。中国株で運用するFIFは、TMBアセット・マネジメント、SCBアセット・マネジメント、カシコン・アセット・マネジメント、クルンタイ・アセット・マネジメント、クルンシー・アセット・マネジメント、アバディーン・アセット・マネジメントなどが扱っており、タイ国内に10本以上ある。

 タイ工業連盟(FTI)のスパン・モンコンスティ会長は、バーツの下落はタイの輸出業者にとってプラス材料だが、グローバルな需要の減速が悩みの種であり続けていると述べている。スパン会長は、バーツが1ドル=34バーツ台まで下がったことについて、1~2%程度の減価は投資家にとって大して大きな問題ではない一方で、輸出業者にとってはより多くの商品を輸出することができるため、輸出と投資の間にほど良いバランスがとれているとコメントしている。

 バーツ相場の先行きに関しては、米ドル高基調が予想されていることから年末時点で35バーツ台を予想するエコノミストもある。ある通貨ディーラーは、今後の期のバーツ相場の下落は、ドル高が主な理由となり、タイ中銀の金融政策などの国内要因は二の次になるだろうとしている。


日付 : 2015年07月13日

By : 週刊タイ経済

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