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水不足で首相が節水呼びかけ 北部・東北の雨で状況はやや改善

 プラユット首相を委員長に新設された水資源管理についての国家委員会は七月二二日、旱魃危機対策で、すべての政府機関に水の使用を10%減らすよう命じた。首相は同日の会議後、政府はすべての主体やセクターをサポートするために水を割り当てることを望んでいるが、ダムの水量はそうするには十分ではないと指摘。国を挙げての節水が重要だと呼びかけた。政府機関以外の民間にも10%の節水での協力を求めている。その上で、政府がより多くの水を貯蔵するための方法を探究し、国際河川からの取水で準備調査を実施しようとしていることを明らかにした。

 首相が政府機関に節水を命じたのは、農業での水の使用を禁じた措置に対し、農民が自分たちばかりがいつも割りを食うと不満を抱いていることを意識したもの。カセームサン・チナワソー天然資源・環境省次官は、委員会の決定を伝える文書を全ての政府機関に送付し、節水計画を作成するよう求めると述べている。各政府機関は毎月、節水リポートを首相に提出する。同委の書記を務めるチャトゥポーン・ブルパット局長によれば、首都水道公団(MWA)のデータによる政府機関の水の消費量は全体の19%を占めている。チャトゥポーン局長は、農民が田に水を引くことを禁止されているのは、都民の使う水を確保するためで、農民は損を負わされていると感じていると説明。水危機対策は都市住民も農民も平等に扱われなければならないと述べている。プラユット首相はこれより前、政府が上水供給を最優先すると発言しているが、この発言は農民を無視することを意味していないと弁明している。

 水資源管理委は、首都水道公団と灌漑局に対し、十分な水量を残しているワチラロンコン・ダムやシーナカリン・ダムの水をバンコクに供給する方法を研究するよう命じている。また北部のプミポン・ダムとシリキット・ダムの死水を使用できるかどうかの研究も灌漑局に命じている。ダムの最低水位以下の死水は本来、ダムのコンディションを維持するために必要なもので、利水の対象とはならないが、異常渇水時に緊急的に利用されることは海外にもいくつかの例がある。2つのダムを合わせた死水の容量は75億立米に達する。

 先週初めには北部や東北部でまとまった雨量が観測されており、主要ダムの水量はやや改善している。灌漑局は水量をチェックしつつ、十分な流量がある地域では一部運河からの農地への引水を許可することにしている。チャッチャイ・プロムラート内務省防災局長によれば、七月二二日、二三日のプミポン・ダムに流入した水量はそれぞれ758万立米、526万立米で、両日の放水量の日量500万立米を上回った。シリキット・ダムに流入した水量は二二日が1793万立米、二三日が2056万立米で、放水量の日量1100万立米を上回っている。政府は両ダムとパーサック・チョラシット・ダム、クウェーノーイ・バムルンデン・ダムを合わせた4ダム合計の放水量を日量2800万立米から1800万立米に削減しているが、アヌポン・パオチンダー内相は、雨量が増えることを前提に水資源委が放水量の見直しを検討していることを明らかにしている。ただしプミポン・ダムの利用可能な水量は二三日時点で1億2200万立米(貯水能力の1%)、シリキット・ダムのそれは2億7700万立米(同4%)に過ぎず、本格的に雨季入りしない限り、水危機は払底されない。


日付 : 2015年07月27日

By : 週刊タイ経済

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