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財務省の月例経済財政報告 7月の景気 依然脆弱

 財務省財政局が8月28日に発表した月例経済財政報告によれば、7月もタイ経済は脆弱な状況が続いている。政府支出と観光業は主要な牽引役になっているが、景気全般は世界経済の減速という外的ショックの影響を受けている。物品輸出は収縮し、農業所得も下落している。ただしタイ経済のファンダメンタルズは健全で、失業率は低位にとどまり、外貨準備高も高水準を保っている。

 財務省のスポークスマン役を務めるエカニット・ニティタンプラパート財政局国際経済顧問が明らかにしたところによれば、民間消費は前月比で減速している。固定価格での付加価値税収が1・7%減と再び収縮に転じた。輸入ベースの付加価値税収が11・1%減少したことによるもので、国内消費ベースの付加価値税収は5・9%増だった。消費財輸入額は前年同月比で1・4%増加したが、季節調整済みの前月比では4・5%減少している。耐久財消費も同様に鈍化している。二輪車販売台数は前年同月比23・2%減。バンコクと地方の双方で販売が落ち込んだ。農業所得が14・6%減少したことが響いている。このほかに消費者の景気全般に対する信頼感指数は7月に62・6ポイントとなり、前月比で7か連続下げている。消費者は輸出が回復せず、農産物の価格が低迷を続け、旱魃の被害も発生していることを懸念している。

 7月の民間投資は前月に比べて減速している。民間建設投資では、セメント販売数量が7月に前年同月比2・0%減と再び収縮に転じた。ただし不動産取引税収は前年同月比で8・8%増、季節調整済みの前月比で4・6%増へと伸びが加速した。設備投資に関しては、商用車の販売台数が3・1%減となったものの、季節調整済みの前月比では2・2%増となった。資本財輸入数量は22・1%減となった。

 政府財政を見ると、政府支出がタイ経済の成長を支えていることがわかる。7月の予算執行額は2219億バーツとなり、前年同月比10・8%増加した。7月の政府の正味収入は1418億バーツで前年同月比9・5%増。7月の予算収支は814億バーツの赤字となった。

 サプライサイドの指標では7月の外国人観光客数は264万人、前年同月比39・4%増と、引き続き高い伸びを記録している。農業生産指数は9・9%減。工業生産指数は5・3%減となったが、季節調整済みの前月比では1・9%増となった。工業部門の信頼感指数は83・0ポイントで、前月比で7か月連続して下げている。

 経済安定性に関しては、7月の失業率は1・0%。一般インフレ率は1・1%のマイナスとなったが、生鮮食品とエネルギーの物価を取り除いたコア・インフレ率は0・9%増となっている。外貨準備高は7月末時点で1569億㌦、短期対外債務の2・9倍の水準となっている。


日付 : 2015年08月31日

By : 週刊タイ経済

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