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中小企業の61.3%「資金繰りが悪化」 タイ商議所大学が調査結果発表 売上低迷、大企業との競争激化

 タイ商業会議所大学(UTCC)が9月10日に発表した中小企業健全性指数は第3四半期(7~9月)に45・6ポイントとなり、第2四半期(4~6月)の47・2ポイントから低下した。同指数は中小企業の流動性管理、資産管理、負債管理、収益性を指標化したもので、8月1日から9月5日にかけて1450社の中小企業を調査して測定した。

 調査対象の中小企業の61・3%は、資金繰りが悪化したと回答している。消費者が支出を抑制していることで売上が低迷し、大企業との競争も激化していることで採算性も低下している。タナワット・ポンウィチャイUTCC副学長は、政府による援助がなければ、大半の中小企業の資金繰りはあと半年も持たないことが明らかになったとしている。一方で中小企業の大半は、政府の経済刺激策の効果から16年の上半期には景気は回復すると楽観している。第4四半期の見通しについての同指数は45・8ポイントで、第3四半期を小幅上回った。

 一方、銀行業界はプラユット政府が8日の閣議で決定した中小企業対策について、特に信用保証の緩和策を歓迎している。小規模企業信用保証公社による信用保証枠は1000億バーツで、中小企業1社あたり最高で4000万バーツを保証する。保証期間は7年で、貸倒になった場合には30%までを公社が補償することになっている。さらに年1・75%の保証手数料は初年度に国が全額を肩代わりし、2年目は1・25%、3年目は0・75%、4年目は0・25%を国が補填することになっている。

 財務省によれば、タイ国内の中小企業はおよそ270万社で国内の企業の97・2%を占めている。中小企業が生み出すGDPは全体の37・4%に相当する。中小企業対策をまとめたソムキット・チャトゥシーピタック副首相は、プラユット首相が、従来の支援措置は銀行を説得して中小企業向けに融資を増やすことができていないとして、経済チームに対し、真に中小企業を支援することのできる措置の導入を求めたことを明らかにしている。

 1000億バーツの信用保証枠は、1000億バーツの低利融資と対になったもので、貸出金利は年4%で期間は7年。政府貯蓄銀行(GSB)が貸出原資を年0・1%で実際に融資を行なう金融機関に供給する。GSBに対しては国が年間28億バーツ、7年間で約200億バーツを利子補給する。

 TMB銀行の中小企業担当部長は、最新の調整された保証条件が、前の計画よりも魅力的なことから、顧客の中小企業に薦めたいと述べている。これに対し、カシコン銀行の担当者は、最新の支援措置が中小企業の資金アクセスを良くするのは事実だが、消費の低迷により中小企業の資金需要そのものが落ちていると指摘。中小企業向けの融資が政府の思惑通りに伸びるかどうかに疑問を呈している。この幹部は、中小企業の経営環境が悪化している中、銀行が政府に協力して中小企業向け融資を増やすには、貸倒引当金の準備で特別枠の設定が必要だとしている。


日付 : 2015年09月21日

By : 週刊タイ経済

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