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米国の利上げ見送り決定 国内市場 冷静な反応 バーツ弱基調が続く? 追加金融緩和遠ざかる

 米国連邦公開市場委員会(FOMC)が17日に利上げ見送りを決定したことに対し、タイのマネーマーケットは比較的冷静な反応を示している。バーツの対ドル・レートは先週に反発し、1ドル=35バーツ台まで戻しているものの、通貨ディーラーは基調的なバーツ安が続くと見ている。タイ通貨当局は、緩やかなバーツ安は歓迎するもよう。一方、金利政策については、米国が利上げに転じることで、景気対策としての追加金融緩和(利下げ)の可能性はなくなったとの見方が支配的だ。

 米利上げ見送りのニュースを受けた18日のタイ株式市場は、比較的落ち着いた値動きで、SET指数終値は1390・32ポイント、前日比0・62ポイント高のほぼ横ばいで推移した。前日までに利上げ見送りの観測が浮上していたことで、タイ株式市場は織り込み済みだった。一方、外為市場では米ドル安にともないバーツが反発。18日のタイ中銀参照レートは1ドル=35・721バーツまで上昇している。

 プラサーン・トライラットウォラクン中銀総裁は、米国の金融政策の行方がグローバル・マネーマーケットにとって最大のリスク要因であることに変わりはないが、焦点は利上げの是非ではなく、利上げがいつになるのかに移ってきていると指摘。マネーマーケットの動揺が今よりも激しいものになることは想定しにくいとしている。一方、銀行業界出身のアピサック・タンティウォラウォン財務相は、米国が市場の観測通りに利上げを見送ったことに安堵しているとのコメントを残している。

 米国の利上げ見送りで新興市場国通貨の急落のリスクは低減しており、それにともないバーツが急落するリスクも低下している。ただし海外投資マネーの新興市場国からの流出は続きそうで、基調的には米ドル高、バーツを含む新興市場国通貨安の構図は続きそう。タイ債券市場協会(TBMA)によれば、9月1~11日に外国人投資家は長期債を中心に228億7000万バーツを売り越しており、タイのマネーマーケットもキャピタルアウトフローが続く見通しとなっている。

 今後もバーツ安基調が続き、米国が年内にも金利を引き上げることに加え、ここに来て政府が景気対策を相次ぎ打ち出していることを考えると、タイ中銀が11月4日、12月16日と年内にあと2回予定されている金融政策委員会(MPC)の政策決定会合で、政策金利を据え置く可能性は極めて高いというのが、市場関係者の支配的な見方。中銀は追加利下げの機会を失ったとするアナリストもある。金融当局は緩和を継続するとアナウンスしているが、インフレ率のマイナス幅が今後縮小し、プラス値に戻す見通しにあることも考慮すると、市中の名目金利から物価上昇率を差し引いた実質金利は、上昇基調になると予想されている。タイ国債利回りも、米国長期金利(米国債利回り)に連動して上昇しそう。


日付 : 2015年09月21日

By : 週刊タイ経済

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