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物品輸出 さらに下振れ 15年通年で5%の収縮も

 タイ荷主評議会(TNSC)のノッポーン・テープシター会長は、15年通年のタイの物品輸出は前年比4・2%減少すると見ている。商業省は3%減と見積もっているが、これを実現するには残り期間に月間190億㌦の輸出を達成しなければならない。TNSCは残り期間に月間185億㌦の輸出を想定し、通年で4・2%減になるとした。一方、カシコン・リサーチ・センター社(KRC)はこれより前、通年で4・0%減と予測していたが、商業省発表の8月の輸出が6・69%減と収縮幅が一段と拡大したことを受け、4%以上のマイナスになる可能性が強まったとしている。タイ中央銀行は最新の経済予測で、通年の物品輸出を5%減と予測している。

 商業省が28日に発表した貿易統計によると、8月の農産物/アグロインダストリーの輸出は前年同月比で8・0%減少した。世界市場の農産物価格が下落していることが主因。天然ゴムの輸出額は前年同月比18・5%増と3か月連続で増加したが、輸出価格は依然として低迷している。砂糖、鶏肉調製品、果物缶詰・同加工品の輸出額はそれぞれ順に9・7%、4・8%、4・7%増となったが、コメ、タピオカ製品、水産缶詰・同加工品、生鮮・冷蔵・冷凍果物の輸出は減少した。

 工業製品の8月の輸出額は3・2%減だった。輸出額で最大の自動車・同部品は6・8%増となり、2か月連続でプラス成長となった。エコカーを中心とする乗用車の輸出が86・8%増加した一方、ピックアップ車の輸出は36・1%減だった。精製油、化学品、合成樹脂などの石油関連製品の輸出額は、原油価格の低迷から引き続き減少している。金地金の輸出は、相場の回復を受けて973・7%増となった。石油関連製品と金地金を除くと、8月の物品輸出額は6・8%減だった。

 8月の輸出を仕向け地別に見ると、CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)向け輸出は5・5%増と引き続き伸びている。また中国向け輸出は0・4%増となった。一方で、米国、日本、EU(15)、ASEAN向け輸出はそれぞれ順に1・9%減、6・7%減、2・3%減、14・9%減となった。

 商業省は物品輸出の収縮の最大の原因は、貿易相手国経済の減速にあると指摘している。主要貿易相手国である日本、中国、フランス、韓国、英国、米国などの物品輸入は軒並み減少している。原油相場が低迷していることも輸出価格全般を下落させている。8月の原油価格は前年同月比で53・6%下落している。農産物価格も低迷しており、今年8月までの8か月間にコメは8・5%、ゴムは19・7%減、砂糖は8・6%下落した。主要競合国通貨の下落もタイの輸出商品の価格競争力を低下させている。ユーロは対ドルで前年同期に比べて12・7%下落し、オーストラリア・ドルは24・6%、マレーシア・リンギットは33・2%下落している。タイ・バーツも同じ期間に11・9%下げているが、下落率は相対的に小さい。


日付 : 2015年10月05日

By : 週刊タイ経済

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