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世界的ドル安でバーツ反発 1ドル=35.5バーツ台に戻す 株価指数も1400台回復

 タイ中央銀行のチャンタワン・スチャリットクン金融市場担当総裁補は9日、マネーマーケットの変動が激しくなっていることを指摘。民間事業部門に対し、外国通貨の関係する商取引の為替リスク・ヘッジを呼びかけた。米国へと向かっていたホットマネーが逆流してアジアの新興市場国に流入していることが背景にある。今月初めに1ドル=36・5バーツ台まで下落したバーツの対ドル・レートは先週に反発し、35・5バーツ台をうかがうまでに上昇している。

 チャンタワン女史によれば、9日の外為市場ではバーツが1ドル=35・55バーツまで上昇している。直近の8週間で最高値となるもので、この日の中銀参照レートは同35・657バーツとなった。一方、株式市場も反発し、SET指数は1400ポイント台に回復した。米国の雇用統計が期待を裏切る低水準にとどまったことや、先週に公開された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の内容から、米国の年内利上げの可能性は遠のいたとの観測がグローバル・マネーマーケットを支配し、アジア通貨やリスク資産が買われたことがバーツや株価の上昇につながった。FOMCの政策決定会合の議事録によると、大多数の委員は世界経済の先行きが依然として不透明な中、利上げは環境が整うまで待つべきだとする慎重な意見を表明している。

 タイ債券市場協会(TBMA)によれば10月1~7日に外国人投資家は債券市場で19億9000万バーツを買い越している。大半は短期の債券への買いで、長期債券は3億2000万バーツを売り越している。短期債券に限れば外国人投資家はおよそ23億バーツを買い越している。なお直近の債券市場における外国人投資家の保有高は5810億バーツとなっている。

 先週の外為市場ではアジアの新興市場国通貨が軒並み上昇した。中でもインドネシア・ルピアは先週だけで約4%、マレーシア・リンギットは約3%上昇している。

 一方、株式市場は9日にSET指数が心理的に重要な壁となっていた1400ポイント台を回復した。今年の8月17日以来となるもので、外国人投資家は13億2427万バーツを買い越した。リスク資産に対する投資家の許容度が増したことに加え、原油相場が7月以来となる1バレルあたり50㌦に反発したことでエネルギー株が買われたことが株価を押し上げた。銀行や通信などの優良株も買われている。外国人投資家は10月に入ってからタイ株買いに転じており、10月初め以降の累計買い越し額は54億7000万バーツに達している。証券アナリストは、今週にも住宅市場活性化策が閣議決定される見通しになっていることで、株式市場の良好な地合は続くと予測している。


日付 : 2015年10月12日

By : 週刊タイ経済

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