ユーザー名 パスワード
クイック検索
キーワード

ピックアップ派生SUV トヨタ、いすゞ 三菱自動車など 生産加速 物品税改定前に在庫投資

 トヨタ、いすゞ、三菱自動車などがピックアップ・トラックの派生モデルのSUVの生産を加速させている。来年1月初めからの物品税構造の改革により、税負担が増えることが理由。物品税は工場出荷段階で課されるため、在庫投資を急いでいる。

 来年から施行になる自動車の新たな物品税は、エンジン・サイズに代えて二酸化炭素(CO2)排出、E85ガソホールとの互換性や燃料効率に基づき税率が変化する。タイ工業連盟(FTI)自動車部会のスポークスマンのスラポン・パイシットパタナポン氏によれば、今年7月以降に自動車生産台数が上向いているのは、ピックアップ派生SUVであるPPV(パッセンジャー・ピックアップ・ビークル)の生産増が一部寄与している。同部会のデータによれば、PPVの生産台数は7月に1万701台、前年同月比11・0%増となり、8月には1万3191台、同47・5%増に急増し、9月には1万5736台、同64・2%増へと顕著に増えている。スラポン氏によれば、新たな物品税率の導入後、PPVの小売価格は1台あたり10万バーツ以上値上がりする。

 PPVの物品税率は1㌔㍍走行あたりのCO2排出量が200㌘未満であれば20~25%の税率になるが、200㌘を超えると30%の税率が課される。PPVセグメントで国内販売台数が多いのはトヨタの「フォーチュナー」、いすゞの「MU―X」、三菱の「パジェロスポーツ」など。

 物品税率の改定で税負担が増えるのはピックアップ・トラックも同じ。スラポン氏によれば、ピックアップ・トラックの小売価格は1台あたり1~3万バーツ値上がりする。このため物品税率改定で来年には小売価格が値上がりする車種は、今年最終四半期(10~12月)に駆け込み需要が生じる見通し。FTI自動車部会では、第4四半期の生産台数は月間平均で20万台前後に上向くと期待している。

 今年1~9月の自動車生産台数は143万1759台で、前年同期比1・65%増となっている。内訳は乗用車が59万147台(7・54%増)、トラックが84万1229台(2・11%減)。トラックのうちPPVを含むピックアップ車の生産台数は82万473台(2・94%減)となっている。

 FTIは今年通年の自動車生産台数を195~200万台と見積もっている。景気の減速、農産物価格の下落、民間投資の停滞、ローン審査厳格化などがマイナス材料で、前回見積もりから下方修正した。ただし昨年実績の188万台を上回る見通し。輸出向け生産台数は120万台で、前回見積もりから据え置いたが、国内市場向け生産台数の見積もりを85万台から75~80万台に下方修正した。国内新車市場が3年連続で収縮する見通しとなっていることが理由。今年1~9月の国内市場向け生産台数は52万199台で、前年同期を8・45%下回っている。


日付 : 2015年10月19日

By : 週刊タイ経済

登録