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第3四半期 景気ゆるやかに回復 工業生産など上向き タイ中銀発表の経済金融報告

 タイ中央銀行が10月30日に発表した経済金融報告によれば、第3四半期(7~9月)の景気は、前の四半期から緩やかに回復している。サプライサイドでは、農業所得は減少したが、工業生産は前の四半期から上向いた。またサービス業も前の四半期を上回った。7~9月のGDP統計は国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局が11月16日に発表予定で、季節調整済の前四半期比の成長率は加速したものと期待されている。ただし中銀統計からは9月の農業所得は前月比減、工業生産も前月比で収縮したほか、サービス業も前月から減速している。

 マクロ経済金融政策担当のルーン・マリカマート・シニアダレクターは会見で、第3四半期に民間部門の信頼感がわずかに改善したことを受け、民間消費と民間投資が幾分上向いたと語っている。タイ経済は回復に向かっているが、経済成長の展望を曇らせる下押しリスクはなお多いことを強調している。中でも中国経済の減速がタイ経済に及ぼす影響が大きいとしている。

 9月に農業所得は季節調整済みの前月比で3・4%収縮した。主に価格の下落によるもので、農業所得は前年同月比では10・7%下落した。農業生産は前月比では横ばいとなったものの、前年同月比では6・3%減少した。年度米の生産が雨季入りの遅れによる影響を受けたほか、果物の生産も天候不順から減少した。農産物価格は前月比で下落し、前年同月比でも4・6%下落した。中国経済の減速による同国からの引き合いの減少と原油安で天然ゴムの価格が下落したほか、籾米の価格は値崩れした。第3四半期の農業所得は前年同期比で13・6%減少している。

 9月の工業生産は前月から僅かに減少した。工業部門の作業時間の指数は低下している。これより前に生産が加速していた自動車、ビールなどが通常の生産レベルに戻したことによるもので、電子部品や電化製品の生産は伸びている。この月にこれら商品の輸出が上向いたことに一致したもの。

 前年同月比では工業生産は収縮した。特にHDDの生産は11か月連続で収縮している。衣料も米国や日本からの引き合いの減少により生産が収縮した。食品・飲料では冷凍エビの生産が減速した。IUU漁業問題で欧州向け輸出が減少した。ビールの生産は、前年のハイベース効果から収縮した。非金属ではタイル、衛生陶器などの生産が減少した。国内経済の回復の遅れと農業所得の低下で、特に地方部での建材の購買力が低下した。原油安で需要が拡大している石油生産は増加した。第3四半期の工業生産は前の四半期を上回った。海外需要の増加で、主に自動車、電子部品の生産が上向いた。


日付 : 2015年11月02日

By : 週刊タイ経済

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