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タイも全土で警戒態勢 政府「IS潜入の形跡なし」 ジャカルタ・テロの余波

14日にインドネシアの首都ジャカルタ中心部で起きたテロ事件を受けて東南アジア諸国連合(ASEAN)各国は警戒を強め、テロリストについての情報交換など治安機関同士の緊密な協力体制の構築を進めることを確認した。
 プラウィット・ウォンスワン副首相兼国防相は「タイ国内に過激派組織イスラム国(IS)のメンバーが侵入した形跡はまだない。しかし、インドネシアでテロ事件が起きたということは既にアセアン域内にISのネットワークが存在することを意味し、国民保護のために生ぬるい対応ではいけないことを示している」と述べ、関係当局が一致して、悪意を持った者の国内潜入を防ぐための監視と対策を強化するよう指示した。
 また一般市民に対しても、「目や耳」となって異常な動きに気付いた場合は直ちに治安当局に通報するよう求めた。
 プラテープ・ナエートニヨム国家安全保障会議(NSC)事務局長は英字紙ネーション紙の取材に対して「アセアン地域の一部の国でISが細胞を拡大させプレゼンスを高めていることは事実」との認識を示した。
 これに関連して、イスラム問題専門家ジャラン・マルレーム・タマサート大学講師は「タイ自体は攻撃の対象にこれまでならなかったものの、国内には過激派組織があるほか、他国攻撃の拠点として使われたことはあり、最大限の警戒を維持する必要がある」として、特に中東地域の暴力がアセアン地域に波及するのを防止する対策について域内国で早急に協議するよう提言した。タイ政府と対立を続ける南部3県(ヤラー、パッタニ、ナラティワート)のイスラム過激派組織は、政治路線の違いからこれまでのところ、ISとは距離を置いているとされる。
 プラユット・チャンオーチャー首相は「脅威をあまり強調すると、観光はじめ国の経済に影響する」と過剰な危機宣伝を控えるよう求めているが、治安専門家の1人は「経済の先行きへの影響を心配して政府は疑わしい情報があっても厳しく情報管理しているのではないか」と、政府発表は言葉通りには受け止めるべきではないとの考え方を示した。



日付 : 2016年01月25日

By : 週刊タイ経済

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