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中銀の最新経済金融報告 景気回復傾向つづく 工業生産上向く 自動車駆け込み需要 年末の個人消費刺激

 タイ中央銀行が1月29日に発表した最新の月例経済金融報告によれば、12月の景気は引き続き緩やかに回復している。特に国内支出が牽引しているが、その一部は自動車の駆け込み需要や年末の最後の1週間の個人消費刺激措置によるもので、1月以降の反動が懸念されている。

 サプライサイドでは、12月の農業生産は前年同月比42・9%増となった。雨季の遅れでコメの収穫がずれ込んだことが理由。一方で農産物価格は底ばいを続けており、同4・9%下落した。特に原油安に連動して天然ゴムの相場が下落した。サトウキビ価格も砂糖の国際市況の悪化から下落した。この結果、農業所得は前年同月比35・9%減となった。なお第4四半期(10~12月)の農業所得は前年同期比で8・8%減少した。今年の乾季は、水不足が懸念されており、乾季作米の収量は細りそう。一方、天然ゴム価格は政府の買付け措置によって小幅反発している。

 工業生産は12月に上向いた。多くの製品カテゴリーで生産が前月から上向いている。燃料と化学品を除く原料・中間財の輸入額、工業部門の電力消費量などが上向いている。この結果、季節調整済みの設備稼働率は前月から小幅上昇して66・4%となった。ただし工業生産が上向いた一因は、自動車の物品税率改定を前にした駆け込み需要にともなう自動車生産の加速、中国の合成ゴム(コンパウンド・ゴム)の輸入関税引き上げにともなうシート状ゴムとブロック状ゴムの中国向け輸出の拡大などの一時的なプラス材料にある。鉄鋼の生産は、CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)諸国の不動産業の成長にともないこれら諸国向け輸出が増えていることや、アセアン経済共同体(AEC)の発足による需要増を見込んだ在庫投資により増加した。食品・飲料の生産は主に植物油やビールの生産が上向いた。ただし石油製品の生産は前月から減少した。電化製品の生産も外需が減速を始めたことで減少した。なお10~12月の工業生産は前四半期比で上向いた。国内需要が上向いたことと、自動車生産の加速によるところが大きい。

 サービス・セクターは、国内需要と観光業の回復にともない前月から拡大した。運輸業の成長が続いている。特に空輸は旅客数が伸びている。卸・小売業も民間消費と観光業の回復に伴い伸びている。ホテル/レストラン業は上向く傾向にあり、不動産サービスも政府の不動産セクター刺激措置の恩恵により前月からやや増加した。

 デマンド・サイドでは民間消費が前月に引き続き上向いている。自動車の駆け込み需要と年末の個人消費刺激措置が寄与している。民間投資は前月からやや上向いたが、商用車の販売増などの一時的な要因によるところが大きく、設備増強のための投資は、代替エネルギーや通信など一部の業種に限られている。


日付 : 2016年02月01日

By : 週刊タイ経済

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