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中小支援で税制優遇 政府、大企業向けに プラチャーラット政策

 政府は、中小企業やスタートアップ企業を支援する大企業に対し税制上の優遇措置を提供する。1日にアピサック・タンティウォラウォン財務相が明らかにしたもので、プラチャーラット実行委員会の考案。「ピー・チュアイ・ノーン」(兄が弟を助ける)プログラムと名づけ、大企業が小規模企業のマーケティング戦略や原価管理、技術開発などを手助けした場合には、実際の費用の2倍を所得控除できるようにする。

 プラチャーラット政策実施の民間チームを率いるカーン・トラクンフン氏(前サイアムセメント社長兼CEO)によれば、小規模企業のイノベーションを手伝う大企業については特に、それにかかった経費の3倍の所得控除が認められる見通し。アピサック財務相は、このプログラムの閣議提出を5月にも予定していることを明らかにしている。

 プラチャーラットは、持続可能な開発を実現するために政府、企業部門と民衆部門が一致協力するメカニズムで、現政権の目玉政策の一つとなっている。国や企業部門が、農民、労働者や中小事業所を支援することで、国の経済を基層部分から底上げしようというのがこの政策の理想とするところとなっている。現政府が、村落基金プログラムなどを通じて低所得層に現金を支給しているのもプラチャーラットの政策に沿ったもので、景気の減速による影響を受けている国民を支援することが目的となっている。

 中小企業やスタートアップ企業に対するサポートでは、政府は年4%の低利融資プログラムをすでに開始している。政府貯蓄銀行(GSB)が貸出原資を年0・1%の金利で商業銀行に融通し、商銀を通じて実行する。昨年9月に導入された当初の与信枠は1000億バーツだったが、申し込みが殺到したため、500億バーツを上積みした。国はGSBに対し利子補給を行う。

 政府は最近になって低所得層の住宅取得を支援するための低利融資プログラム「プラチャーラット住宅」も導入。300億バーツの与信枠を設けたが、すでに4月1日時点で申し込みは与信枠を上回る310億バーツに達しており、こちらも上積みを検討している。

 プラチャーラット政策の生みの親であるソムキット・チャトゥシーピタック副首相は、国の経済成長力を強化するためには、製品のイノベーションが必要と常々主張している。新たなプログラムは、イノベーションを通じて製品を開発した韓国の成功例をモデルとするもので、韓国の大企業が資金を提供するなどして創造的なベンチャーを育成したことに範をとっている。


日付 : 2016年04月04日

By : 週刊タイ経済

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