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4月にも閣議提出へ 公務員年金法を改正

 文官人事院は公務員の定年を60歳から65歳に引き上げるための法改正を4月にも内閣に提案する。国家予算に占める公務員年金支払いの負担が高まっており、「このままでは10~15年後には財政が破綻するおそれがある」(ソムチャイ・サッチャポン財務次官)ことが背景にある。

 財務省財政局によると、14年度予算における高齢者年金関連予算は2700億バーツでGDP(国内総生産)比2・1%。これが26年度には6800億バーツ、GDP比3・0%まで上昇する見通しになっている。その内訳は公務員退職一時金・年金が4700億、高齢者福祉金が900億、公務員退職一時金・年金基金への拠出が500億、社会保険(高齢手当部分)への拠出が200億、国家貯蓄基金への拠出が100億バーツ。

 現在、公務員は約170万人おり、毎年約3万人が定年退官しているが、人員補充が予算上の制約に直面している。近年は正規の公務員の採用を少なくし、臨時・長期の雇員や非正規職員としての採用でしのいでいるのが実情。

 タイは高齢化社会が進展しており、60歳以上の人口比は現在約14%。国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局では、この比率が20年に17・5%、25年に21・2%、30年に25・2%まで上昇すると試算している。財務省は高齢者年金関連予算のGDP比を3%に抑制することを目標にしており、そのためには公務員年金の抑制が欠かせない。

 ちなみにタイの公務員の年金制度は、97年に公務員退職一時金・年金基金設置法が施行され、現在は公務員は同基金に積み立て、そこから退職金と年金をもらうことになっている。ただし同基金制度が始まる前に公務員だった者は、国家予算から支給される従来の年金制度か同基金加入かを選択できる。国家予算からの年金(月額)は、最後の月額給与に勤続年数を掛け、50で割った金額。35年勤務だと最後の月給の7割をもらえることになる。


日付 : 2016年04月04日

By : 週刊タイ経済

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