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NESDB 経済成長率予測を上方修正 3.0~3.5%増に

 国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局は今年1~3月期の経済成長率が3・2%増と、今年2月時点の通年の経済成長率予測の2・8~3・8%増、中間値で3・3%増の水準に近似するものとなったことを受け、経済成長率予測を上方修正した。ただし世界経済の回復の遅れが輸出に及ぼす影響が鮮明になりつつあることから、3・5%増を上回る成長率となる可能性は低下したと判断している。一方で1~3月の成長率が3・0%増を上回ったことで、通年の成長率が3・0%増を下回る可能性も遠のいたと見ている。

 NESDB事務局は16日に発表した『エコノミック・アウトルック』の最新号で、今年通年の成長率を3・0~3・5%増と予測した。今回の予測にあたっては、世界経済と世界貿易量の予測を下方修正するとともに、物品輸出価格も下方修正した。この結果、輸出の経済成長に対する牽引力は従来見積もりより低下する。一方で外国人観光客数は上方修正しており、サービス輸出の成長牽引力は高まり、物品輸出の牽引力の低下を穴埋めする。また財政支出は、年度予算の執行率の設定値を93・4%から92・9%に下方修正したが、補正予算からの執行が333億6270万バーツ見込まれるため、従来見積もりを上回り、経済成長に対する寄与度が高まる。

 民間消費は通年で2・3%増と見積もった。15年の2・1%増から加速するものの、前回予測の2・7%増から下方修正した。政府消費支出は3・9%増で、15年の2・2%増から加速し、前回予測の3・7%増を上回る。補正予算が編成されたことが大きい。

 投資は4・2%増と予測され、15年の4・7%増を下回る。前回予測の4・9%増と比べて下方修正した。民間投資は2・1%増で、昨年の2・0%増を上回るが、前回予測の3・2%増を下回る。第1四半期の投資の伸び率が予測を下回ったことが大きく、多くの工業で設備稼働率が低位横ばい傾向にあることで、設備増強のための投資は望み薄となっている。政府投資は11・7%増。昨年の29・8%増を下回るものの、前回予測からでは上方修正となった。

 ドル建ての物品輸出額は1・7%減と予測した。昨年の5・6%減に比べると改善するものの、前回予測の1・2%増から下方修正した。ただし外国人観光客数増でサービス輸出は上向く見通しで、物品・サービス輸出数量の伸びは2・0%増と15年の0・2%増から加速する。

 ドル建ての物品輸入額は4・6%減で、15年の11・3%減から改善するが、前回予測の1・3%減から下方修正した。予測の前提となる輸入価格の設定値を2・5~1・5%減から4・5~3・5%減に下方修正したことが主因。また物品輸出と民間投資の下方修正で輸入需要も低下する。物品・サービス輸入数量の伸びは0・0%増と15年の0・4%減から上向く。

 貿易収支は通年で391億㌦の黒字を見込む。15年の346億㌦の黒字を上回るもので、前回予測の348億㌦の黒字を上回る。経常収支はGDP比9・4%の黒字を見込んでいる。


日付 : 2016年05月23日

By : 週刊タイ経済

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