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3Dプリンター、タイで普及 カフェでの扱いも 政府は輸入規制検討

 3Dプリンターがタイでも普及の兆しを見せている。個人向け世界最大手製造・販売メーカーが現地法人を設立したほか、3Dプリンターを扱えるカフェを併設するなど、企業業務への活用だけでなく、一般の人も駆使できるよう社会生活全般に3D技術の浸透を図る取り組みが始まっている。

 「思い通りに、簡単に立体的な作品が作れるのが3Dプリンターの魅力」。都内パヤタイ区ソイ・アリー1で3Dプリンターの作業場とカフェを併設する「ファブカフェ・バンコク」を運営するガラヤ・コーウィウィシットさんは訪問客に3Dプリンターを紹介している。ここは2014年にオープン、これまでに無印良品やサイアム・セメントなどとのコラボレーション(共同作業)で、3Dプリンターを使った新しい商品を提案してきた。

 現在も毎月、一般人向けやデザイナー向けのワークショップを開く。「タイでは日本のようにものづくりの環境が整っていない。活動を続け、タイでもDIYの文化を普及させたい」と話す。

 ファブラボは米国MIT(マサチューセッツ工科大学)メディア・ラボで始まった工作機械を備えた工房の世界的ネットワーク。「ファブ」には「FABrication」(製作)という本来の意味のほかに、「愉快な」「素晴らしい」を意味する「FABulous」の意味が込められている。カフェ併設の施設は東京・渋谷で生まれた。カラヤさんは日本でファブカフェを運営する林千晶さんとメディア・ラボで出会った縁で、バンコクでの出店を決めたという。

 タイ企業で高まる注目

 現在はタイの大手企業も3Dプリンターに注目。今年開かれた建物の内外装品や建築家のアイデアを発表する「アーキテクト2016」展で、サイアム・セメントのブースでは建築家ユニット・スーパーマシンが3Dプリンターを使い設計した洞窟のようなパビリオンが展示された。同社のサニット・ケースワン・ダイレクターは「3Dプリンターを使うことでただの建材とは異なる表現を生み出すことができる。建設業界にイノベーションを起こしたい」と期待を示した。

 昨年9月には、世界シェア3割を持つ個人向け3Dプリンター製造・販売最大手のXYZプリンティングがタイに現地法人を設立。2025年までに現在の2Dプリンターに取って代わると予測し、今年中に国内で6000台を販売する目標を掲げている。

 輸入規制も

 3Dプリンターが普及してきた一方で、2016年2月、タイ商業省は3Dプリンターの輸入規制を検討していることを明らかにした。規制品目に指定されると、これまでは必要なかった手続きや譲渡する場合の届け出などが必要になるという。

 チェンマイを拠点とするハイテク製造業コミュニティ「メイカースペース」代表のナティ・サン氏は「規制で流通が滞ると、タイが国際的なイノベーションの流れから遅れてしまう」と危惧している。


日付 : 2016年05月30日

By : 週刊タイ経済

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