ユーザー名 パスワード
クイック検索
キーワード

改正破産法が施行 中小企業の再建を支援

 資金繰り難や経営環境の悪化などから経営が破綻した中小企業や個人営業主の再生を目的とする事業更生手続を規定した破産法令(第9版)が5月25日付けで施行になった。零細事業者、中小企業にも破産法に基づく事業更正の機会を開くことが目的で、97年の経済危機後に設けられた事業更生制度が零細企業や個人営業主も利用できるようになった。

 法務省訴訟執行局のルアンワディ・スワンモンコン局長によれば、改正法の施行により、資金繰りに窮し、債務の返済が不能となった中小企業が、事業を存続できる機会が得られるようになった。従来の事業更生手続きは、負債総額が1000万バーツ以上の株式会社と公開会社しか対象としていなかったが、新たな事業再生手続きでは中小企業振興法の規定に基づく個人、グループ、パートナーシップ、株式会社、その他法人で登録・登記済みの者を網羅する。

 中小企業振興事業団(OSMEP)のサリニー・ワンタン理事長は、新たな破産法の施行により、負債総額1000万バーツ未満の会社や個人の再生や債務の再構成がより容易になると述べている。主力債権者が事業更生計画を受け入れるケースでは、他の債権者は債務者に対して破産訴訟を起こすことができず、債務者は法的に保護される。OSMEPは事業更生計画を提出した中小企業に対し、基金から事業継続に必要な資金を融通することも考えている。

 昨年末時点でタイには約277万社の中小企業があり、前年比で1・07%増えている。今年第1四半期(1~3月)には特に旅行業、ホテル/レストラン、建設、運輸・物流分野で中小企業の起業が増えている。中小企業が生み出したGDPは今年1~3月に1兆4900億バーツとなり、前年同期を5・1%上回った。中小企業の国内生産はGDP全体の42・3%を占めている。

 ルアンワディ局長は、中小企業に事業再生の道を開いたのは、景気の減速で苦難する中小企業を支援しようとする政府の政策の一環だと述べている。事業再生手続きを規定する法改正にあたってはOSMEPの協力を仰いだことを明らかにしている。事業再生の適用を申請できる個人は、OSMEPに登録し、負債総額が200万バーツ以上。法人の場合は負債総額300万バーツ以上1000万バーツまでとなっている。OSMEPによれば、定期的に財務諸表を同事業団に報告している個人を除く中小企業42万社のうち300万バーツ~1000万バーツの負債があるのは全体の12%となっている。

 サリニー理事長は、OSMEPが6月27日に破産法改正の広報イベントをプラユット首相を議長に招いて開催することを明らかにしている。同イベントは個人営業主のOSMEPへの登録促進も狙っている。


日付 : 2016年06月13日

By : 週刊タイ経済

登録