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ラオス投資に熱 日系企業132社に

 ラオスが地域諸国や世界経済との繋がりを深めるのに伴い、日系企業による同国への投資が熱を帯び始めている。在ビエンチャン日本大使館によれば、5月の時点でラオスで活動している日系企業の数は2012年実績からほぼ倍増して132社に達している。昨年、日系企業はラオスで22件の投資事業を行ったが、この数は前年実績を2件上回っている。ただし投資額は半減している。14年の投資総額3849万㌦(約13億7000万バーツ)に対し、15年は1737万ドルにとどまった。発電や鉱山開発など多額の投資を必要とする分野への日系資本の投資が少なかったことが理由。傾向としては製造業への資本進出が圧倒的だが、最近では農業や銀行、コンサルタント事業などにも関心が広がってきている。

 特に経済特区に指定されているチャムパーサックとサワナケートへの日系企業の進出が急増している。14年実績ではこれら経済特区で、日系企業が5事業に総額543万㌦を投資しており、15年には10事業、600万㌦に拡大した。ラオス全土における日系企業の投資状況を示す最新のデータはないが、13年には4億570万㌦が投資されているとの情報がある。

 ラオス政府は、環境や社会への責任感が強い日系企業の投資を歓迎する姿勢を示している。

 一方でインフラ状況や法的枠組の改善が着実に進み、安価な労働力が豊富な同国は、日系企業にとって新たな生産拠点として注目を集める存在になりつつある。特にすでにタイに事業進出し、タイの大洪水や政治対立、賃金高騰などを経験している日系企業にとっては、言語がタイに近似しており、文化的にも近いラオスはスムーズに入り込んでいける移転先として最適と考えられている。また安価な労働力だけでなく、電気料金などの基本的なコストが安いことや、政治的に安定していることも魅力とされている。同国政府が投資環境をさらに整備していけば、この傾向はますます強まっていく可能性が高い。

 ラオスと日本の間では2007年以来、「ラオス・日本公共・民間部門ダイアローグ」と称する投資環境整備を目的とした意見交換の枠組が機能している。ラオスで活動している日系企業の現状についてラオス政府当局者と情報を共有し、問題解決の効率化や環境整備を図るというもので、仮に同国政府がこうした場で共有した情報に基づいて環境の改善や整備を進めていけば、日系企業による同国への投資はさらに活性化する可能性があると専門家は見ている。


日付 : 2016年06月13日

By : 週刊タイ経済

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