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代替エネの投資拡大 バイオ、太陽光が先行

 輸出の不振と国内景気の回復遅れから製造業の設備投資が伸び悩む中、代替エネルギー事業は通信事業とともに民間投資を牽引している。政府が代替エネルギーの基本計画を策定して、個別の電源ごとの目標値を設定したことや電力の固定価格買取制度(FiT)の確立で投資環境が改善したことが背景にある。カシコン・リサーチ・センター社(KRC)は今年から2018年までにかけて、代替エネ事業への投資は1100~1500億バーツ規模に達すると試算している。

 政府は屋上太陽光発電の自由化や工場免許取得の免除、政府機関や農協向けメガソーラー事業での各種の障害を取り除く環境整備に努めており、今年の残り期間は代替エネの中でも太陽光発電への投資が伸びる見通し。さらにゴミ発電もプラユット政府による規制の緩和で民間企業部門の関心が高まっている。また風力発電も先行したプロジェクトが商業運転を開始しており、注目を集め始めている。

 政府は代替エネの電力料金を厚遇するFiT制度を導入しているが、優遇条件は次第に減らしていく方針で、発電効率向上に向けた投資も増えていくと期待されている。

 政府は代替エネによる発電能力を36年までに国全体の20%まで増やすとした代替エネ開発基本計画を策定している。現在は12・9%。2015~36年電源開発計画(PDP2015)で定めた36年時点の発電容量から計算すると、36年時点の代替エネの目標発電容量は1万9684・40メガ㍗となる。現在の発電容量は8271・24メガ㍗で、目標の42%となっている。

 現時点で最も発電容量が大きいのはバイオ発電で、太陽光発電、ゴミ発電が続く。風力発電は現状、わずかな容量にとどまっている。バイオ発電は農業廃棄物を燃料に使うことができるため、政府部門が最初に振興した代替エネで、目標達成率が他の燃料よりも高くなっている。パーム油工場、砂糖工場、ゴムの木製材工場、精米所などは工場で出る廃棄物を燃料とすることができるため、今後も投資可能性は大きい。自社工場の電力コストを低減できるだけでなく、余剰電力は小規模民間発電(SPP)または極小規模民間発電(VSPP)のプログラムでタイ発電公団(EGAT)に売ることができる。

 一方、太陽光発電は政府機関/農協を対象にしたメガソーラーがすでに281・32メガ㍗の発電容量で審査をパスしており、諸規制の問題も解消されたため、今年下半期にかけて投資が増える見通し。さらに屋上太陽光の自家発電は100メガ㍗の枠で試験的に自由化されている。KRCは今年末までに太陽光発電だけで約230億バーツの投資が発生すると見積もっている。

 民間部門の関心が高まっているのはゴミ発電。現在の発電容量が目標にほど遠いことに加え、政府がゴミ処理を国家課題の一つに指定し、その有力な解決方法としてゴミ発電を強く後押ししていることが背景にある。すでに16~18年にかけて発効する電力購入契約(PPA)を結んでいるプロジェクトは投資額にして170億バーツを数えている。

【代替エネ開発計画(AEDP2015)】

 国内にある代替エネルギー源によるエネルギー開発を振興する計画で、目標年は2036年。電力、熱量、バイオ燃料を合わせて36年までに13万100ktoe(石油換算千㌧)を目指す。14年時点の消費量は9025ktoeで、最終エネルギー消費量の11.9%。代替エネ電力は消費電力全体の20%、バイオ燃料は燃料全体の25%を目標としている。


日付 : 2016年06月27日

By : 週刊タイ経済

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