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タイ資本の対外投資拡大 上場企業の37%が海外進出

 タイ資本の海外進出が増えている。タイ証券取引所(SET)がこのほど発表した報告書によれば、SET上場企業517社のうち海外に事業基盤を持つ企業は昨年末時点で192社、全体の37%を数えている。前年末の173社から増加した。海外に進出している企業の79%がアセアン域内に投資しており、59%はCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)に投資している。中でもベトナムが投資先として最多となっている。ベトナムに投資している上場企業は全部で55社を数えており、アセアンに投資している152社の3分の1以上となっている。業種別では資源グループに属する上場企業が最も海外投資に積極的だ。

 SETの報告書によると15年の上場企業の海外投資はネットで520億バーツとなり、前年の1160億バーツに比べると半減している。投資の引き揚げ額が前年よりも多かったことが一因で、15年には1社だけで280億バーツの投資引き揚げがあった。

 海外からの事業収益は増え続けている。2006年から15年までの期間に海外収益を計上してきた110社に限った統計では、15年の海外事業収益は前年比7%減となっているが、これら企業の国内収益も同様に9%減少している。このため総収入に占める海外事業の比率は前年の45%から46%へと上昇している。

 過去10年間にタイ企業の海外直接投資額の伸び率は一貫して外国企業のタイへの直接投資額の伸び率を上回ってきた。タイ資本が事業の存続または新たな事業機会を海外に求めていることを示すもので、海外進出の動機は新市場の確保、資源の確保、生産効率の向上や技術移転やイノベーションの確保による競争力の強化にある。特にサイアム・セメント・グループ(SCG)に代表されるような大企業にとって、タイの経済規模がさほど大きくはないことから事業の成長を持続させるためには海外市場の開拓が欠かせなくなっている。


日付 : 2016年07月04日

By : 週刊タイ経済

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