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電気自動車の国内生産 支援パッケージ導入を閣議決定

 政府は2日に開いた閣議で工業省が提出した電気自動車(EV)の国内生産支援措置について審議し、関係諸機関が協力して支援措置のとりまとめを急ぐよう命じた。EVを初めとする次世代自動車は政府が指定した10のターゲット産業の1つ。ソムキット・チャトゥシーピタック副首相が物品税局と関税局に対し、EVの国内需要形成のため物品税や関税で優遇するよう指示を出している。

 工業省はEV生産支援について、財務省、運輸省、科学技術省や民間工業部門と数次にわたって協議してきた。EV生産の支援は完成車の組立とバッテリー、モーター、電力供給の制御系の構成部品の生産を含めたパッケージで投資計画を提出することを条件とすることで合意している。これまでの支援措置では、EVの国内生産に向けた調査や研究開発を目的とする完成車の輸入についてすでに輸入関税を免除している。ただし自動車部品業界は性急なEV生産へのシフトは部品メーカーに与える影響が大きいとしており、EV生産奨励は慎重に進めていく考え。

 現在、EVには、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグイン・ハイブリッド電気自動車(PHEV)、バッテリー電気自動車(BEV)、燃料セルEVの4種がある。うち前2者は、電気とガソリンまたは軽油を併用し、内燃機関を持つが、後2者は内燃機関を持たない。HEVのタイでの生産は日本勢が先行し、トヨタ、ホンダ、日産などが複数モデルをタイで組み立てている。

 一方、PHEAはベンツが積極的だ。メルセデス・ベンツ(タイランド)は3日に開いた記者会見で、PHEVの新モデルの投入を発表した。ベンツはサムットプラカン県にある組立工場でHEVを組み立てていたが、すでに生産を中止し、PHEVにラインを変更した。今年初めよりS500eとC350eの組立を開始。6月現在、約1500台のPHEVをタイで販売している。

 BEVに関しては 日本のベンチャー企業であるFOMMが東南アジアを中心に量産普及を目指している。今年2月のシリントン国際技術インスティチュートに続いて、2日にはキングモンクット工科大学トンブリ校との間で、EVの技術・イノベーション分野の調査研究で協力覚書を取り交わした。FOMMは14年に4人乗りで世界最小のEVの販売を開始している。

 ソムチャイ・プーンサワット物品税局長によれば、EVの物品税率は現在でも10%となっており、他のタイプの自動車に課される14~35%の税率よりも低く抑えられている。クリット・ソムバットシリ関税局長は、国内で生産されていない基幹部品の輸入関税引き下げなどの税制優遇を考えている。


日付 : 2016年08月08日

By : 週刊タイ経済

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