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閣議で4法令を承認 競争力/投資誘致を強化 法人税免除期間を拡大

 政府は23日の閣議で投資誘致を強化し、国際競争力を引き上げるための4法令を承認した。①投資奨励法(改正法)②ターゲット工業競争力強化法(新法)③特別経済区法(新法)④タイ工業団地公団法(改正法)で、法人税減免期間を延長するなど投資優遇策を強化するとともに、手続き短縮などで投資家に便宜を供与する。閣議後のナッタポーン・チャトゥシーピタック商業大臣顧問の説明によれば、この4法令が目指すところは工業の高度化による「競争力強化」と「国境投資誘致」および「ターゲット工業への投資誘致」の3点。

 投資奨励法の改正では、法人税免除期間中に損失が出た場合における利益との相殺をめぐる計算方法について、国税局による国税法典に基づく解釈に従うとした。この問題をめぐっては投資委員会(BOI)事務局と国税局の間で解釈の違いが生じ、ミネベアが裁判の結果、国税局の計算方法に基づく更正を命じられている。同様の問題を抱えるBOI認可企業に対して国税局は、8月1日まで更正申告すれば追徴課税しないとしていたが、国家平和秩序維持団(NCPO)団長命令で期限が8月15日まで延ばされていた。

 このほか、先進技術を使用するプロジェクトや研究開発は法人税免除期間を最大13年に延長する(現行は8年)。また法人税免除期間終了後の法人税の50%減税期間も5年から10年へ倍にする。法人税の減免措置を受けなかったプロジェクトについても10年間の70%減税措置が受けられる。研究開発に使用する資機材は輸入税が免除される。

 さらにBOIの委員の任期が切れた場合、新任の委員が就任するまで引き続き任に当たることが明文化された。これは13年のクーデタ前にインラック政権が機能不全に陥ってBOI新委員の任命ができず、BOI認可が長期間にわたって滞ったことを踏まえたもの。

 競争力強化法令では100億バーツの競争力強化基金を組成し、ターゲット工業への投資に資金支援する仕組みを設ける。同法下では先進技術使用プロジェクトに対する法人税免除期間は最大15年間とされている。

 特別経済区法は政府が計画している国境の10か所での特別経済区(SEZ)の開発、運営の受け皿になる法律。一方、タイ工業団地公団法の改正は特別経済区法の制定に合わせたもので、タイ工業団地公団(IEAT)が関連事業のため子会社を設立できるようにする。またIEAT総裁にワンストップサービスセンターの設置権限も付与した。

●23日の閣議で承認された4法令
 投資奨励法の改正法
 ターゲット工業競争力強化法
 特別経済区法
 タイ工業団地公団法の改正法

●投資奨励法の主な改正点
 1.BOI委員と顧問は後任が就任するまで任に留まる。
 2.4年ごとに外部に委託して投資奨励結果を評価する。
 3.事務局は認可事業の調査、評価を委託できる。
 4.輸出向け生産の奨励や輸出要件の廃止。
 5.研究開発、試験目的の資機材の輸入関税免除。
 6.先進技術使用事業、研究開発への最大13年の法人税免除。
 7.法人税減免を受けなかった場合、利益から投資金を控除できる。
 8.法人税免除を受けない場合、税特典を増やすため、免除の代わりに法人税減税が受けられる。
 9.配当の所得税免除期間を期限後6か月まで延長する。
 *法人税免除期間中の損失の計算方法は国税局の方法に従う。



日付 : 2016年09月05日

By : 週刊タイ経済

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