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17年の物品輸出 商業省目標は3%増

 商業省は2017年のドル建て物品輸出額の目標を前年比3%増に設定した。7日に在外商業事務所の代表を招集した会議を開き、各国・地域別の傾向も踏まえた上で3%増の目標を設定した。世界経済が来年には3・4%成長すると期待されていることから、プラス成長は可能と見ている。会議では来年の輸出振興戦略について協議し、インドやアセアン向けの輸出を強化する方針も確認した。

 17年の物品輸出の国・地域別の目標は、北米が2・9%増、中南米が0・1%減、欧州が1・0%増、アセアンが2・5%増、東アジアは中国が3・0%増、香港が2・0%増、台湾が3・0%増、日本が1・0増、韓国が0%増。

 アピラディ・タントラポーン商業大臣は9日、今年通年の物品輸出が、商業省が当初目標としてきた前年比3%増には届かないものの、0・3%増のプラス成長になるとの見通しを持っていることを明らかにしている。原油安に引きずられる形で物品の輸出価格が下落していることや、世界経済の回復が遅れていることが誤算になっているが、タイ産品の主力輸出市場でのシェアは維持できていることを強調している。同大臣はさらに、タイの輸出市場が米国、日本、EU、アセアン、中国に分散されていることも指摘。特定の市場に依存することによるリスクは低下しているとした。タイの最大の輸出市場はアセアンだが、輸出額全体の25%を占めるにとどまり、米国、日本、EU、中国がそれぞれ10%前後でバランスが取れている。

 商業省統計の物品輸出は今年1~7月に1221億8200万㌦にとどまり、前年同期を2・28%下回っている。しかしアピラディ商業相は、今年残り期間に主力市場向けの輸出が上向くと述べている。特に中国、米国向けの輸出は残り期間にそれぞれ1・0%増、オーストラリア向けは5・0%増、中東向けは2・4%増が見込まれるとしている。

 ある銀行系シンクタンクのエコノミストは、世界経済が来年も周期的な減速期を抜け出せないとして、3%増の輸出目標は現実的でないと見ている。また世界の貿易構造も変化し、各国が輸入への依存度を減らしていることや、タイの主力輸出商品そのものが技術変化に追いついていないという構造的問題も抱えている。原油相場はここに来て反発しているものの、基調的な騰勢が続くとの見方は少なく、商品市況は来年も低迷を続ける可能性が高い。


日付 : 2016年09月12日

By : 週刊タイ経済

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