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砂糖産業を構造調整 32年ぶりに制度改正 クオータ制を廃止へ

 政府は11日に開いた閣議で、砂糖生産と流通機構を32年ぶりに抜本的に見直すとした工業省の提案を承認した。コープサック・プートラクン総理府大臣補佐官が閣議後の会見で明らかにしたところによれば、1984年以来採用してきた70対30の利益分配制度を廃止し、国内の砂糖価格を自由化する。

 タイは粗糖生産と輸出で、ブラジルやオーストラリアと共に世界の上位を占めている。1位のブラジルはタイの砂糖産業が閉鎖的で、政府の手厚い保護を受けているとして世界貿易機関(WTO)に提訴する構えを見せており、こうした問題を回避するためにも制度の抜本的な改正が避けられなくなっていた。

 コープサック氏によれば、工業省はサトウキビ・砂糖委員会事務局が中心となって砂糖産業を管理する新たな法案を作成する。政府はすでに2016年から21年までの期間を対象にしたサトウキビ・砂糖開発基本計画をスタートしており、サトウキビ・砂糖法やその他関連法の改正を計画に盛り込んでいる。

 サトウキビは粗糖の生産だけでなく、エタノールやバイオ・プラスチックの母材としても使用されており、こうした周辺産業についても法的な枠組みを設ける。また長期の計画では砂糖生産の標準を底上げし、相場の安定、タイの競争力強化のため研究開発機関を設置する。

 砂糖工場とサトウキビ生産者が7対3で利益を分配するシステムは、サトウキビ・砂糖基金を介して調整されている。基金が十分な資金を持たない時には、しばしば農業・農協銀行(BAAC)から基金が資金を借り入れる格好で運用してきた。

 現行の制度の下では国内の砂糖価格を低く抑制した上で、砂糖供給不足を防止するため、クオータ制度が設けられているが、新たな開発計画ではクオータ制度を廃止する。現在、クオータは①国内市場供給枠②国営砂糖輸出会社による粗糖輸出枠③砂糖工場自身による独自輸出枠に3分割されている。


日付 : 2016年10月17日

By : 週刊タイ経済

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