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最低賃金引き上げを決定 一月から5~10バーツ上げ

 官労使の代表で構成する中央賃金委員会は19日、69都県の最低賃金を2017年1月1日より1日あたり5~10バーツ引き上げることを決定した。各県の賃金委員会が改定を求めていたもの。現在、最低賃金は全国一律で300バーツ/日となっているが、来年以降は各県別の最低賃金が適用される。

 中央賃金委の委員長を務めるプンタリック・サミティ労働省次官が明らかにしたところによれば、各県ごとの生活費、物価上昇率、生活水準、事業者の支払い能力、GDPその他の経済・社会的要素や近隣国との賃金比較も加味した上で、最賃の改定を決めた。これより前には、13の県小委員会が4~60バーツ幅での最賃の改定を提案していた。

 タイ使用者評議会のワロップ・キンチャンシン会長は、中小企業の支払い能力を考えても今回の改定の衝撃は激しいものではなく、最賃が3年間にわたって据置きになっていたことからも引き上げは妥当との見方を示している。その上で、タイの産業界は賃金の上昇に見合う労働技能の開発が欠かせないとした。また賃金の上昇が可処分所得増につながるよう、物価の値上がりを抑制するよう政府に求めている。

 タイ商工業使用者連合のターニット・ソーラット会長も、300~310バーツの新しい最賃は使用側が容認可能な範囲だとしている。

 労働側代表のソムバット・ノイワー委員は、8県の最賃が据置きになったものの、小委員会が賃上げを提案していなかったバンコクを含む多くの県の引き上げを勝ち取ったこともあり、最善を尽くした結果だと評している。引き上げ幅は労働者に不満があるかもしれないが、経済情勢全般にも留意しなければならないと述べている。

 これに対し労組中央団体の1つであるタイ労働連帯委員会は26日、69都県の最低賃金の引き上げ、8県の据置き決定を不服とし、同決定の見直しと全国一律での改定を求める首相宛の陳情書を提出した。タイ労連は①全国一律賃金制度の維持②労働保護法を改正して事業所の毎年のベアを規定③消費財の物価統制の3点を要求している。

【17年1月からの最低賃金】
・300バーツで据え置き/[中部]シンブリ県[南部]チュムポン、ナコンシタマラート、トラン、ラノン、ナラティワート、パッタニ、ヤラー県
・305バーツ/[北部]メーホンソン、チェンライ、ラムパーン、ナーン、ターク、カムペンペット、ピチット、プレー、ラムプーン、パヤオ、スコータイ、ウタラディット、ピッサヌローク県[東北部]ノンカイ、ウドンタニ、チャイヤプーム、シーサケート、サコンナコン、カラシン、マハサラカム、ロイエット、ブリラム、スリン、アムナートジャルン、ペチャブン、ブンカーン、ナコンパノム、ウボンラチャタニ、ルーイ、ノンブアラムプー、ムクダハン、ヤソートン県[中部]ナコンサワン、カンチャナブリ、ラチャブリ、スパンブリ、ペチャブリ、ウタイタニ、チャイナート、ロッブリ、ナコンナヨック、プラチュアップキリカン、サムットソンクラーム、アントン県[東部]サケーオ、チャンタブリ、トラート県[南部]パッタルン、サトゥーン県
・308バーツ/[北部]チェンマイ県[東北部]コンケン、ナコンラチャシマ県[中部]サラブリ、チャチュンサオ、アユタヤ県[東部]プラチンブリ、チョンブリ、ラヨン県[南部]スラタニ、ソンクラー、クラビー、パンガー県
・310バーツ/[首都圏]バンコク、ナコンパトム、ノンタブリ、パトゥムタニ、サムットプラカン、サムットサーコン[南部]プーケット県


日付 : 2016年10月31日

By : 週刊タイ経済

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