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タイ政府 ハイブリッド電気自動車 投資奨励に否定的

 投資委員会(BOI)のアチャリン・パタナパンチャイ副事務局長は1日、チュラロンコン大学工学部が主催した「タイと電気自動車」と題したセミナーで講演し、ハイブリッド電気自動車(HEV)に対する投資優遇の付与には否定的な見解を示した。BOIは、プラユット政府が電気自動車(EV)生産に対する投資奨励方針を決定したことを受け、具体的な投資優遇をとりまとめる作業を進めているところだが、複数の自動車メーカーからモーターと内燃機関を併用するHEVも対象に含めるよう意見が出ている。

 アチャリン副事務局長は講演で、すでに投資優遇を受けることなくHEV生産に投資しているメーカーもあることを指摘。投資優遇を設ければ、国の支援を当てにせずに投資を実施した先行企業に不公平になると指摘している。同副事務局長は、タイの自動車工業により多くの付加価値をもたらし、長期的な国の競争力を押し上げるためにも、HEVよりも技術的により高度なプラグイン・ハイブリッドEV(PHEV)とバッテリーEV(BEV)に焦点を当てたほうがいいとしている。

 タイ国トヨタのタイ人幹部は、このセミナーで講演し、政府がEV生産を発展させたければ、まずはHEVの投資奨励から進めるのが望ましいと主張した。PHEVやBEVはまだ非常に高価で、普及にあたっては障害も多いと指摘している。このタイ国トヨタの幹部は、将来的なBEV生産を見据えてバッテリーの現地生産を条件としてHEV生産に対する投資優遇を提案している。

 9月現在、タイ国内で登録されているハイブリッド車は7万7826台。PHEVはメルセデス・ベンツとBMWがタイで組み立てている。

 アチャリン副事務局長はEV生産の投資優遇について、とりまとめる作業が予定よりも遅れていることを認めている。財務省、工業省、エネルギー省との協議を必要とすることが理由。政府はEV生産への投資優遇で、EVに対する国内需要を喚起するため開発の初期段階に完成車の無税輸入を許可することを考えている。EVの組立工場を設けることを前提に、投資奨励を受けた企業に限って2年間の完成車無税輸入特典を付与し、組立開始後は一定期間、基幹部品の無税輸入特典をつける。ただしバッテリー、バッテリー管理システム、モーター、運転制御装置、空調システムといった5つの基幹部品のうち少なくとも1つは内製しなければならない。

 EV生産の投資優遇は1日のBOI本会議でも話し合われたもよう。アチャリン副事務局長によれば、プラユット首相は、既存の自動車産業の懸念にも配慮し、EV開発は慎重に進めたいと述べたという。


日付 : 2016年11月07日

By : 週刊タイ経済

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