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東部経済回廊(EEC) 政府が開発を加速 今年度予算は48事業70億B

 プラユット首相は17日、首相官邸で開いた今年最初の特別経済区開発政策委員会の会合で、東部経済回廊(EEC)の開発を急ぐよう号令した。会議では緊急に実施する必要がある48件の公共事業をリストアップし、その実施経費として2017年度中央予算の緊急予備費枠より69億9267万バーツを配分することを決めた。
 タイ東部は1980年代から日本政府の支援の下に東部臨海工業地帯として開発が進み、今ではタイの工業総生産の約3分の1をこの地域が占めている。ただし近年は公害を懸念する声が高まり、重化学工業への投資はブレーキがかかっている。
 プラユット政府は経済成長を加速させるための新たな成長エンジンとなるターゲット産業への投資誘致に向け、チョンブリ、チャチュンサオ、ラヨンの東部3県を東部経済回廊(EEC)と名付けている。首相は17日の会議で、EECの開発にあたっては地域社会の民生、イノベーション、情報科学、医療関連産業を考慮しなければならないと述べている。
 EEC開発プロジェクトの統合調整機能を担う国家経済社会開発委員会(NESDB)のポラメーティ・ウィモンシリ事務局長によれば、EEC開発では2017~21年の5年間に合計で173件のプロジェクトに7000億バーツを投じる。このうち国が国家予算から配分するのは1500億バーツで、残りは国営企業や官民連携(PPP)手法による民間企業の投資を想定している。同事務局長は、政府が17~18年度に計画しているプロジェクトの建設工事を進め、可能な限り予算を消化するとしており、並行してこの地域に民間投資を惹き付けるための投資優遇を整備していくとしている。またEECへの投資を呼びかけるべく広報活動も強化していく。
 政府は10月にEEC設置法案を閣議承認済み。EECを高度先端技術産業の東南アジア随一の集積地にすることを目標としている。誘致の対象となるのは①次世代自動車②スマート・エレクトロニクス③メディカル&ウェルネス・ツーリズム④農業・生物工学⑤食品⑥産業用ロボット⑦ロジスティック・航空関連産業⑧バイオ燃料・バイオ化学⑨デジタル⑩医学サービスの10のターゲット産業。
 その実現のため空運、道路輸送、鉄道輸送、水運を含めた運輸インフラを重点的に整備する。特に東南アジアにおける海上輸送のハブになるようミャンマーのダウェー深海港、カンボジアのシハヌークビル港、ベトナムのブンタオ港との連結を強化する。またウタパオ空港を航空ハブとして開発する計画もあり、同空港の拡張に加え、航空機整備センターとしての機能を持たせるとともに航空機部品などの産業の集積を図る。
 EEC内に投資する企業には、50年プラス49年間の長期借地権を付与するほか、法人所得税の減免、外国人経営者や専門家、研究者に対する査証免除や個人所得税の優遇を付与する。工業省は今後5年間にEECへの投資は最大で5500億バーツが期待できると試算している。



日付 : 2016年11月21日

By : 週刊タイ経済

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