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鉄鋼需要は増加傾向 中国製品流入は続く

 タイ国内の鉄鋼需要は、政府の大規模インフラ開発によって拡大すると期待されている。しかし中国製の安価な鋼材が国内メーカーから市場を奪っており、国内鉄鋼メーカーが受ける恩恵は限られたものにとどまるとの見方が多い。

 カシコン・リサーチ・センターは今年の建設業における国内鉄鋼需要を840~860万㌧とし、来年はこれを2・3~4・5%上回ると見積もっている。自動車工業における需要が約300万㌧で、他の分野も合わせたタイ全体の鉄鋼需要は1600~1700万㌧と見ている。

 熱延鋼板製造のサハウィリヤ・スチール・インダストリー社(SSI)のウィン・ウィリヤプラパイキット社長兼CEOは、タイ政府が中国製鋼材の流入問題に取り組んでいるものの、タイは依然として中国製鋼材に支配されていると指摘している。ウィン氏はタイ政府に対し、中国からの鉄鋼輸入を監視し続け、持続可能な方法で国内の鉄鋼メーカーを保護するよう求めたいとしている。

 タイ冷延鋼板協会のナワー・チャンタナスラコン副会長によれば、中国製鋼材に対するアンチ・ダンピング課税は有効だが、中国メーカーはベトナムを経由してタイに輸出する手法を使っている。ベトナムに輸出された中国の鉄鋼の数量は数年前に比べて2倍に膨れ上がっている。その多くがタイに再輸出されているという。ナワー氏はアンチ・ダンピング課税にはまだ逃げ道があることを示していると指摘している。

 ある業界関係者は、安価な鉄鋼の輸入を防ぐために政府が絶え間なく対策をとるよりは、タイの鉄鋼製品がハイエンド市場でも競争できるようにするため、メーカーによる先端技術の導入や研究開発への投資を促すことが長期的に見て重要かつ、最も効果的だとしている。


日付 : 2016年12月05日

By : 週刊タイ経済

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