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中銀総裁 米国の利上げで資本流出 タイ経済への影響は限定的

 タイ中央銀行のウィラタイ・サンティプラポップ総裁=写真=は13日、米国の利上げにより、タイでも資本流出が生じるとの見方を示しつつも、その影響は他の新興市場国よりも小さく、限定的なものにとどまることを強調した。米国が金利を引き上げれば、外国人投資家はタイの資本市場から投資マネーを引き揚げるものと見られている。米国投資のリターンが高まるだけでなく、ドル高バーツ安が進展することで、バーツ建て資産の価値が目減りすることになるため。

 米国の連邦公開市場委員会(FOMC)は14日、フェデラル・ファンド(FF)金利を1年ぶりに0・25%幅で引き上げたが、ウィラタイ総裁は、債券市場からの資本流出は大きくはないと述べている。タイの債券市場は大半が国内の機関投資家による保有で、外国人投資家の占める割合は7、8%に過ぎない。総裁はこの点が、マレーシアやインドネシアとタイとの大きな違いだと強調した。両国の債券市場における外国人投資家の保有率は全体の34%、30%を占めている。

 総裁は今年のタイの経常収支が約400億㌦の黒字、GDP比10%近くに達することも指摘。たとえ若干の資本流出があったとしても、バーツ相場を大きく揺るがすことはないとした。バーツのボラティリティ(変動)指数はマレーシア・リンギット、インドネシア・ルピアと比べて低く、バーツは相対的に安定した通貨になっている。

 タイの債券市場と株式市場では、10、11月に外国人投資家が売り越しに転じ、資本の流出があったが、それでも年初から12月9日までの累計で外国人投資家は株式市場で808億バーツ、債券市場で630億バーツを買い越している。また12月2日現在、タイの外貨準備高は1756億㌦を数えている。


日付 : 2016年12月19日

By : 週刊タイ経済

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