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タイ中銀予測 今年の成長率は3.2%増に 17年は3~4%増成長 物品輸出の収縮が誤算

 タイは足元の景気が目に見えて回復する兆しを見せないまま2016年を終える。16年通年の成長率は3・2%増と予測されており、2・8%増にとどまった前年に比べると上向くものの、景気が上向いている実感はないのが実情だ。物品輸出が年初時点の予想とは裏腹に通年で収縮する見通しにあることが大きな誤算となった。景気を牽引したのは政府支出と観光収入だったが、観光業は成長のペースに陰りが見え始めた。民間投資や物品輸出は予想以上に低迷している。一方で政府ならびに金融当局は、政府の経済刺激策などを背景に今後、個人消費が拡大すると期待している。

 タイ中央銀行の金融政策委員会(MPC)は21日に開いた政策決定会合で、政策金利を年1・5%に据え置くことを決定した。今年の経済成長率が3・2%増と、前年の2・8%増から上向く見通しにあり、来年も少なくとも同程度の成長率が見込まれている。国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局は11月時点で、17年の経済成長率を3・0~4・0%増と予測している。タイ経済の潜在成長率は4・0~5・0%増とされるため、この成長率予測は潜在能力を下回ることを想定している。

 米国連邦準備制度理事会(FRB)は13、14日の連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定会合で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を0・25%幅で引き上げた。さらに来年は年3回の追加利上げを計画していることを明らかにしている。これを受け米国では長期金利(国債利回り)も上昇に転じている。こうした海外の金利高について、タイ中銀は政策金利の引き上げ圧力となる可能性は低いとしており、近い将来の追随利上げの可能性を否定している。

 MPCが来年の経済成長率を今年並みと見ているのは、貿易相手国の景気に対する不透明感、新政権の下での米国の通商政策の行方、ゼロダラー・ツアー取締で勢いが止まった中国人観光客数の先行きなどを懸念していることが理由。一方で、個人消費が第3四半期の実績値でMPCの見込み以上に拡大していることや、農業所得の拡大、政府の個人消費刺激策の実施は景気にプラスに寄与すると見ている。中銀は個人消費の成長率を16年が2・7%増、17年が3・1%増と予測。従来予測のそれぞれ2・1%増、2・6%増から大幅に上方修正した。

 民間投資は今年が0・6%減、来年が1・6%増と予測。それぞれ1・1%増、1・7%増から下方修正した。民間投資はインフラや代替エネルギー、サービス業に集中しており、製造業の設備投資は弱々しいままとなっている。

 外国人観光客数に関しては、今年が3240万人、来年が3410万人と予測し、従来予測からそれぞれ120万人、220万人下方修正した。一方で、今年の物品輸出は0・6%減と従来見通しの2・5%減から引き上げた。また来年はゼロ成長と予測し、0・5%減とした前回予測から上方修正した。


日付 : 2016年12月26日

By : 週刊タイ経済

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