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タイ中央銀行金融政策報告 17年の経済成長率 前年並みに 民間投資低迷、観光失速響く

 タイ経済は成長の加速を期待しつつも、対外的なリスク材料にも事欠かない状況から、先行きの予測が困難なまま新年を迎えた。タイ中央銀行は12月30日に発表した最新の『金融政策報告』で今年の経済成長率を3・2%増と予測し、3か月前の予測値を据え置いた。中銀は16年の経済成長率は3・2%増と見積もっており、前年並みの成長¬率にとどまると見ている。

 タイ中銀は、中国経済の成長鈍化、中国人観光客数の減少が懸念されることが最大の下振れリスクになると見ている。一方で、政府の経済刺激策が予測以上の効果をもたらし、米国経済の成長が同国の財政政策を通じて加速する可能性もあると見ているが、下振れリスクと上振れする可能性は五分五分と見ている。

 足元の景気はやや上向いているものの、力強さを欠いている。中銀が同時に発表した月例経済金融報告によれば、11月の景気をサプライサイドから見ると、農業所得は主に年度米の収量減にともないわずかに収縮したが、農産物価格は総じて上昇した。特に天然ゴムの価格が上向いている。工業生産は物品輸出増に連動して多くの業種で上向いた。特に電子部品の生産は4か月連続で増加した。設備稼働率も前月比で上昇した。特に自動車、集積回路(IC)の稼働率が上がっている。サービス業では観光関連産業が鈍化したが、工業部門の経済活動の拡大による運輸業の成長が穴埋めしている。

 デマンドサイドでは政府支出が消費と投資の双方で伸びており、これが景気を牽引している。これに対し民間消費のほうは2か月連続で減速し、減速幅も拡大している。民間投資はわずかに改善したとは言え、引き続き収縮している。

 中銀は17年の民間消費と物品輸出が従来の予測よりも上向くと見ており、政府の経済刺激策の効果にも期待しているが、民間投資の不振とサービス輸出(観光業)が予想以上に低迷することが経済成長を下押しすると見ている。17年の民間消費は2・6%増と昨年9月時点の予測の2・1%増を上回りそうだが、民間投資の伸びは1・6%増にとどまると見ている(9月時点の予測は1・7%増)。政府消費と政府投資はそれぞれ3・2%増(9月予測は2・8%増)、11・9%増(同7・5%増)を見込んでいるが、物品・サービス輸出の予測は9月時点の1・0%増から0・6%増に下方修正した。


日付 : 2017年01月09日

By : 週刊タイ経済

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