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 仏教を信仰し、農耕で生計を立てていた民族として、日本とタイでは共通点があるが、国民の持つ性質というのは大きく異なる。日本人には血縁を中心とした“家”思想があり、昔から集団に個人が束縛され、それが団結につながる傾向にあるが、タイ人は外国に対してタイ国民という大きな集団として団結することはあっても、それよりも小さな地域社会で団結を見せることは非常に少ない。多分に個人主義なところがあり、他者から束縛されたり支配されたりすることを嫌う。

 タイ人は、細かいところにこだわらないおおらかな部分を持っているが、それが悪く作用すると、おおざっぱ、いいかげん、責任感が薄いというふうに形を変える。タイ人と共に仕事をする場合は、この点が日本人と大きく異なるため、しばしばトラブルに発展しがちである。また、困難なことや忍耐を強いられることを嫌い、我慢強さに欠ける。

 しかし、年長者を敬う、人付き合いをする際に大きく距離を取らない(人懐っこい)、ホスピタリティに富んでいるといった面もあり、そういう部分が外国人を魅了する一因となっているのも事実である。

 タイ人の性質を端的に表しているタイ語をいくつか紹介する。

マイペンライ

 直訳すると「どうということはない」という意味になり、転じて「大丈夫」「平気です」というニュアンスを持つ。これは、加害者と被害者の双方で使う場合があり、その場合は大きく意味合いが異なってくる。例えば、車を運転している人が、歩行者にぶつかりそうになったとき、歩行者が「マイペンライ」と言えば、「特にけがもないし、大丈夫ですよ」と相手を思いやる言葉になるが、運転している人が「マイペンライ」と言うと、「ぶつかったように見えたけど、なんともないよね」と自分の立場や感情に重きを置いている場合が多く、相手の立場や感情は無視されていることが多い。

サバーイ

 快適、健康などという意味がある。自分の体調についてこの言葉を使った場合は、体調の良し悪しを指すが、物事が円滑に進んでいる(進んでいない)場合、環境や状況が自分にとって快適な場合(快適でない場合)もこの言葉を使う。もちろん、快適な方を望んでいるのは言うまでもない。

サヌック

 楽しい、面白い、愉快などという意味がある。この「サヌック」の有無が、物事を決定する基準になっていることがあり、仕事場でもこの「サヌック」がないと言って辞めていくこともある。どちらかというと享楽的な意味合いがあるため、楽しいことを追い求めたり、のめりこんでしまうタイ人が多い感を受ける。

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