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タイ側パートナーとの合弁(共同で事業をするための資本提携)事業を開始する場合、契約に関する交渉は最も重要かつ核心的作業といえるだろう。合弁契約は、合弁会社の設立、運営、各合弁当事者の権利や義務に関する基本的な契約であるため、契約内容に自社の目的と意志を適確に反映できるか否かは、その後の合弁事業に大きな影響を与えることになる。

まずは、タイに進出する自社の目的や目標、合弁会社を設立する理由、合弁会社やタイ側のパートナーに期待することなどを慎重に検討し、自社の方針、戦略といったものを明らかにすることが最も大切である。これらは合弁交渉の原点になるため、交渉の進め方、確実に抑えたい点、妥協可能な点といった判断は、すべてこの原点に立ち返って判断をすべきである。

正式な合弁契約の交渉に入る前に、信頼できる合弁パートナーを選ぶことが最重要課題であることはいうまでもない。合弁パートナーとなる企業については、時間をかけて綿密な調査を行なうことをお薦めする。相手の言うことを鵜呑みにして、よく調査しないままに合弁会社を設立するのは非常にリスキーな行為である。

合弁契約(Joint Venture Agreement)の交渉においては、以下の点が重要なポイントとなる。

1) 出資(出資額、出資割合、出資方式など)
出資比率はどのような割合にするかなど、合弁会社設立の目的に適合するかどうかという視点からの検討が必要。他に、タイ側が土地使用権、建物、設備などで現物出資をする場合も入念な調査が必要。
2) 各当事者の業務分担、責任範囲
合弁会社設立手続き、運営など、タイ国内での作業については、タイ側パートナーの協力が必要な場合が多くなる。それぞれの責任範囲を明確に記載しておくことが肝要である。-
3) 取締役に関する事項
人数、権限、取締役会議の頻度や運営方法など。タイの非公開株式会社は、取締役が独立して執行に当たるが連帯責任があるため、重要な取引については、取締役会議の席で決議するように決めておいた方がよい。-
4) 株式に関する事項
株式の譲渡に制限を設けたり、増資したりする場合の新株の引き受けに関する取り決めなど。-
5) 契約に関する事項
契約期間の開始・終了、契約に違反した場合などの取り決めなど。-
6) 紛争解決(仲裁条項、仲裁する場所・機構など)
紛争が生じた場合、その最終的な解決方法として、仲裁にするか裁判にするか、またどこを仲裁機関にするかなどを取り決めることができる。日本には日本商事仲裁協会(http://www.jcaa.or.jp) という専門機関がある。-

合弁契約の他にも、以下のような契約書を交わす必要性が考えられるため、合弁会社の事業内容に応じて、漏れのないように万全の体制を取りたいものである。

● 製造技術許諾及び技術援助契約(License and Technical Assistance Agreement)
製造技術許諾及び技術援助契約で規定すべき主要な事項の検討を行ない、製造技術許諾の範囲など
が契約書の主な内容となる。
● 機器供給契約(Equipment Supply Agreement)
供給範囲、価格及び納期などが契約書の主な内容となる。
● 工場設計契約(Engineering Agreement)
設計範囲及び規格などが契約書の主な内容となる。
● 人員派遣契約(Personnel Dispatch Agreement)
派遣者の取扱及び供給などが契約書の主な内容となる。
● 原料供給契約(Raw Materials Supply Agreement)
供給範囲及び価格などが契約書の主な内容となる。
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