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 タイで生活していく中で、「タイ人は日本人とは考え方が違う」という場面に多々遭遇することがあるだろう。しかも、そういったケースのほとんどは、日本人側からすると非常識だったり、不都合だったりすることばかり。だがそれを、「考え方が違う」と一言で片づけてしまわず、理解するように努めてみれば、タイ人との関係もまた違ったものになるかもしれない。ここでは、ビジネスシーンの中で起こり得るケースを考えてみた。

タイ人は時間にルーズ?

 「待ち合わせの時間に遅れてくる」「会社に毎日のように遅刻してくる」「約束の納期に間に合わない」など、「タイ人は時間にルーズな国民なのか」と疑いたくなるような経験は、誰でも一度や二度はあるだろう。全体としてそういう傾向があるのは否めないが、それは生活の中で「時間に合わせて行動する」ということが日本より少なかったり(バスや地下鉄、BTSには時刻表がない)、時間に遅れるということを多くのタイ人が寛容に受け入れることが原因ではないかと考えられる。一緒に仕事をする間柄のタイ人に、時間に対しての意識を高めてもらうなどということは困難極まりないので、待ち合わせ時刻の少し前に電話で確認をするとか、タイムカードを取りいれて遅刻を厳重に取り締まるとか、そういう手を講じた方が手っ取り早い。たびたび納期を守らないような業者は別の業者に変えてしまえばいい。

言われたことしかできない?

 「指示した仕事しかやってもらえない」というのは、タイ人部下を持っている人なら日常的に感じることではないだろうか。その仕事につながる仕事を判断して進めたり、考えられるケースを想定して行動するということは残念ながら多くない。そもそも、タイでは新入社員教育というものが行なわれている企業は少なく、大学生であれば在学中に企業でインターンとしてOJT(オンザジョブトレーニング)を受けて、その後実社会に出て即戦力とされる場合がほとんどだ。社会人として踏まえるべきマナーや常識よりも、仕事をどうやってこなしていくかを中心に学ぶため、日本人のように画一的な基準のマナーや常識はあまり期待できない。とはいっても、以前に日本人と仕事をしたことがあるタイ人の中には、日本人の求めるものや日本人気質というものを理解している人もいるので、一概に言えない場合もある。

勤労意欲が低い?

 ちょっと目を離すとすぐさぼったり、友人と長電話をしていたなどというのは、タイではありがちな光景。タイ人は勤労意欲が低いというよりも、自分にふられた以上の仕事はできるだけ避けたいというのが本音のようだ。特に、管理職ではなく単純労働に近い仕事をしている人(メッセンジャーなど)はこの傾向が強くなる。というのも、タイ社会は歴然とした学歴社会なので、学歴の有無で就く仕事ももらう給料も大きく異なってくる。年功序列ということはありえない。どうせ昇進も昇給も望めないのだから、少しでも楽に仕事をしたいというのが彼らの考えだといえる。

職場の和を図ったつもりが?

 人数もそう多くない職場なので、ランチを社員と一緒に食べておごってあげたり、会社帰りにちょっと一杯を付き合って… …なんて日本人的感覚で職場の和を図ろうとしたら、社員になめられてしまって言うことを聞いてもらえないというのは、タイで小さな事務所を営む社長さんの話。職場の和を図るのは良いことだが、あくまで自分は上司や経営者としての立ち居振舞いを忘れずに。タイ人は、態度や言葉遣い、身なりでその人物を判断して、自分との上下を計るところがある。タイ人は意外なほどにプライドが高い国民でもあるので、一度下に見られてしまうと、それを回復するのは難しい。どうぞご注意を。

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