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BOIの投資奨励を受ける場合、IEATに入居する場合、
いずれの恩典も取得しない場合の違い

 タイ国で現地法人を設立して、企業進出する場合。以下の3つの方法があります。

1. BOI(タイ投資委員会)の奨励を受けて進出する方法
2. IEAT管理の工業団地に入居する事で得られる奨励を受けて進出する方法
3. BOIおよびIEATいずれの奨励も受けず進出する方法

 また、タイ進出の際、タイ国政府から受けられる恩典は大別して次の2つになります。まずは、BOIから投資奨励事業の認可を受けて得られる優遇措置。もう一つは、タイ工業団地公社(IEAT:Industrial Estate Authority of Thailand)に入居することで得られる優遇措置です。BOIの奨励事業の認可を受けてIEATが管理する工業団地に進出する場合、BOIおよび IEAT両方の優遇措置を受ける事ができます。

(1) BOIの奨励を受けて進出する方法

 この場合、投資奨励は企業ではなく事業単位で与えられ、担当官庁はBOI(タイ投資委員会)です。投資奨励法に基づき、BOIから奨励を受けた事業は法人によって運営される事が要求されているため、奨励を受けた後で株式会社を設立する事になります。この場合、外国人事業法の規制は受けず、BOIの外資規制のみを受ける事になりますが、製造業であれば外資100%が認められています。

(2) IEAT管理の工業団地に入居し得られる奨励を受けて進出する方法

 工業団地には、大きく分けるとIEAT(タイ工業団地公社)が管理するものと、BOIの奨励を受けて民間企業が造成・管理するものがあります。前者は「Industrial Estate」の名称を用い、後者は「Industrial Park」などの名称を用いています。

 工業省管轄の工業団地公社(IEAT)は、BOI同様に、投資奨励恩典を与える権限を「タイ国工業団地公社法」に基づいて運営されている工業団地内に限って持っています。IEATは工業省の直轄部門として、工業省と密接な関係をもっており、早くから「工場設立許可」や「工場操業許可」などについて本来工業省工場局が行う業務をワンストップで代行するサービスを提供しています。IEATが管轄する工業団地に入居すると、BOIによる認可取得の有無に関係なく、入居企業はIEATからの恩典を享受できます。IEATが管理する工業団地に入居すると、IEAT独自の恩典を享受できるだけでなく、同時にBOIによる奨励業種にも適合している業種の場合、より多くの恩典を享受できます。

【IEAT管轄の工業団地の恩典】
1. 外国人出資比率 51%以上の企業の土地所有
2. 事業に必要な外国人への労働許可
3. 事業に必要な外国人とその家族に対する長期滞在許可
4. 事業にかかる資本金、配当金、借入金、利息、使用料等の外国送金 など

 IEATの規則には外資に関する規定が無いため、外国人事業法の規制を受ける事になります。ただし、IEAT管理下にある工業団地に入居する企業は、通常BOIの奨励を同時に受けるため、その場合は外国人事業法の規制を受けません。その場合、IEATへ入居申請を行うと同時に、BOIにも投資奨励申請をする必要があります。

〔参考〕 IEAT管理のアマタナコン工業団地に入居し、BOIの恩典を受けた場合
A. BOIからの税恩典(※ZONE2の恩典)
 1. 法人税免除:5年間(IEATまたはBOI認可の工業団地以外での事業は3年間)
 2. 機械輸入関税の半減(※関税率が10%以下の機械は対象外)
 3. 輸出のための原材料の輸入関税1年間免除
B. IEATからの恩典

(3) BOIおよびIEATいずれの奨励も受けず進出する方法

 この場合、外国人の持ち分が50%以上であれば、外国人事業法の規制を受ける事になります。タイ国ではBOIの認可を受けないで事業を行う製造業の企業も少なくありません。ただし、BOIやIEAT認可対象外の日系中小企業において、日本人の滞在許可および労働許可の人数確保が極めて難しくなる問題は、最近さらに顕在化してきています。

BOIとIEATの恩典の差

 IEAT管理下の工業団地に入居する事で得られる恩典とBOIの恩典では、外国人事業法の規制の有無以外にも、両者の恩典には差があります。両者の主な恩典の有無は以下のとおりです。

主な恩典 BOI IEAT
法人所得税の減免税
機械設備の輸入税減免

※輸出加工区の場合は免税

外国人の土地所有の許可
外国人就労許可

 上記のとおり、IEATには、IEATが管理する輸出加工区の輸入関税免税以外には租税上の恩典がありません。そのため、IEAT管理下の工業団地に入居し、法人輸入税、輸入関税税減免の特典を希望される場合、IEATおよびBOI両者への申請が必要となります。

 BOIおよびIEATの大きな恩典として、外国人でも土地所有ができる点があります。ただし、企業によっては、面倒な管理を要求されるBOIを嫌い、Non BOIとして土地所有の許可申請を行う例も多いようです。

 BOIもしくはIEATの認可企業であれば、企業の規模を問わず、BOIもしくはIEAT から承認を取る事により比較的容易に日本人枠を確保できます。特に、BOIが投資奨励している製造業・加工業・一部サービス業の事業者は、外国人就労許可申請の手続面でも優遇されており、同じことがIEAT管轄の工業団地に入居する事業者にも言えます。

 労働許可推薦については、BOIもIEATも恩典を提供しており、両者の恩典で労働許可証枠を持っていると、双方の推薦状で、それぞれ出入国管理局で労働許可発給申請ができてしまう事になります。このような不都合を避けるため、BOI、 IEAT両者の担当者による定例会合が開かれており、外国人枠の調整が行われています。

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