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タイで外国人がビジネスを始める(=法人を設立する)場合、それは大きく3種類に分かれる。ひとつが現地法人、もうひとつが駐在員事務所、最後が地域統括事務所となる。それぞれの大きな違いは、現地法人は営利目的のビジネスが可能だが、駐在員事務所や地域統括事務所は現地での情報を収集して、それを本国に連絡するといった業務に限定され、商取引を行なうことができない。 また、外国資本の企業に規制を加える外国人事業法という法律がある。これは、規制業種を3つのグループに分けて、異なる度合いの制限を加えるものである。
現地法人企業の場合は、タイ国籍を持つビジネスパートナーが必要となってくるが、実際に出資、経営参加させる必要は必ずしもない。名義のみを借りるということも可能だが、いくら信用できる相手だといっても、きちんと書面で契約書を交わしておくことが必要原則だ。 駐在員事務所の場合は、2003年3月に外国人事業法が改正されて以来、駐在員事務所開設に関して規制が厳格に運用されるようになってきているため、内容によっては、新規のみでなく更新においても厳格な審査が行なわれ、許可を得るのが難しい現状である。(改正以前は、投資金額が小規模で済むこと、手続きが比較的容易であること、邦人所得税を納税する必要がないこと等の理由により、数多く設置されていた。) タイのビジネス界では、華人の台頭が目覚しい。ここで華人というのは、中国から移住してきた、華人の血を引くがタイ国籍に帰化した人たちを指す。彼らは支配階層である官吏や軍人と結びついたり、タイ王室、王族、貴族と混血して上層階級へ同化し、タイの産業全域で力をふるっている。国内の有力企業でいうと、バンコク銀行や、食肉加工業の CPグループなどが華人資本である。華人にビジネス界の先導を取られたタイ系の人々は、主に農業や単純労働に従事している場合が多く、タイの中でも貧困層に位置しているという問題を抱えている。 欧米企業の進出は各業界でめざましいが、特に流通・小売業界においては、アジアの中でもグロ-バル企業が進出して生残りにしのぎを削っている地域が、ここタイのバンコクだといえよう。大型スーパーでは、フランスのカルフールとイギリスのテスコが競うように店舗を開設しており、流通戦争ともいえる絵図が繰り広げられている。
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