タイの会社法の特徴
●タイの会社法は、非公開株式会社を対象にした法律であり、公開株式会社にはこれとは別に公開株式会社法が存在する
● タイでは非公開株式会社の存在がまだ大きく、企業グループは公開株式会社と非公開株式会社から構成されている
また、以下のように資本金の形態に違いがある。
タイ |
日本 |
登録資本 |
授権資本 |
Registered capital |
Authorized capital |
会社設立に当たっては、登録資本金に相当する株式を全数発行し、各株式について25%以上払い込めば会社の登記が完了する(=株式の分割払い)。その後は取締役の請求により、未払い分を順次払い込む。
(※但し、BOI奨励企業の場合は、操業開始までに全額払い込むことを要求される) |
授権株式ともいう。会社定款に記載された、会社が発行することのできる株式の総数のこと。会社の設立に当たっては、授権資本のうち、実際に4分の1以上を発行すればよい。会社設立以降は、取締役会の決議で株式の総数の範囲で新株を発行することができる。また、授権株式数を発行済株式総数の4倍を超えて増加することはできないという制限が設けられている。 |
会社法の罰則
- 会計帳簿、書類、証拠の偽造、改ざんを行ない、会社の利益を害した責任者(取締役など)は、7年以下の懲役または10万バーツ以下の罰金、もしくはその両方が課せられる。会計監査人が不正確な決算書類を正確と証明した場合、また虚偽の報告をした場合、1年以下の懲役または2万バーツ以下の罰金、もしくはその両方が課せられる。
- 資本の半分に相当する損失があった場合、また株主から要求があった場合に臨時総会を召集しなければならず、取締役がこれを怠った場合は1万バーツ以下の罰金である。また、取締役は決算書の複写を総会終了後1カ月以内に商務省へ提出する義務、正しい会計帳簿を備える義務、株主総会の議事録を保管する義務があり、以上を怠った場合は5万バーツ以下の罰金が課せられる。
- 株券を株主に発行することが義務付けられており、発行手数料は50サタンを超えないこととなっている。株券には、会社名/株券が代表する株式数/額面/払込済み額/記名・無記名であるかといった記載事項を定めている。以上に違反した場合、会社に対して1万バーツ以下の罰金が課せられる。
- 自社株の所有、質受けを禁止しており、これに違反した場合は会社に対して10万バーツ以下の罰金が課せられる(但し、公開株式会社については、財政建て直しの場合などにおいて自社株の取得は認められている)。
- 付属定款の変更は株主総会の特別決議事項とし、更に決議から14日以内に商務省に変更登記することを求めている。この登記を怠った場合、会社は2万バーツ以下の罰金が課せられる。
- 各株式については額面の4分の1以上が払い込まれれば会社登記は成立するが、全額払い込みが行われるまでは、いかなる文書にも登録資本の額を表示してはならないと定めており、これに違反した場合は会社に対して2万バーツ以下の罰金が課せられる。BOI認可企業については操業開始までに全額払い込むことが要求されているが、そうでない場合は全額払い込まずに操業を続けている会社も多く、注意が必要といえよう。