Untitled Document

   国家統計局が実施している労働力調査(2003年)によると、タイの就業構造は以下のとおりです。

   タイの総人口は6,401万人で、このうち労働力人口は3,491万人、労働力率は 72.2%です。労働力人口以外は、労働できない15歳未満人口 ※ が1,569万人、家事従事者、学生、就労不能など15歳以上の非労働力人口が1,341万人です。農林漁業従事者が41.0% と最も多いのが特徴で、次いで製造業が15.7%、サービス業16.4%、商業金融業17.9% となっています。農業従事者が多いため、雇用は季節にかなり左右され、雨季には乾季(農閑期)よりも就業率が高くなる点も特徴の1つです。これは、農繁期には地方から出稼ぎに来ていた労働者が農作業の手伝いのため労働力として駆り出され、農閑期には労働市場から引き上げる傾向があるためです。

   ※ 1998年労働者保護法が制定される以前の労働者保護に関する内務省令では、13歳未満の児童を雇用することは禁じられていたが、1998年労働者保護法では15歳未満と引き上げられた。

   民間企業の被雇用者は1,202万人、公務員は264万人であり、民間企業よりも給料は安いものの安定しており福利厚生も充実している公務員の割合がタイでは比較的、高いと言えます。民間企業の被雇用者と公務員以外に、事業者であっても従業員がいない自営業者が1,064万人、賃金の支払いを受けない家族労働従事者が737万人います。その事から、独立精神が旺盛で自由を好む国民気質のタイでは、企業などに属さず、個人や家族で小規模な事業を行う人口が多い事が分かります。

   完全失業者は76万人で、完全失業率は2.17%となります。ただ、統計の取り方が異なるため、日本の失業率と単純に比較することはできず、タイでは通常、年別の推移をみるのに使われています。

【アセアン地域最高レベルの女性労働力率】

   タイにおける女性の労働力率は、長年に渡ってアセアン地域の最高レベルであると考えられてきました。労働力人口に占める女子労働者は44.7%を占め、男子労働者の55.3%とそれほど差が無く、女性の社会進出がかなり進んでいることが分かります。実際、辛抱強く仕事をこなすタイ人女性は企業内でも総務、人事、経理などの部署を中心に、営業、購買、生産管理など、多くの部署の重要なポジションで幅広く活躍しています。

   その背景として、タイの社会では、女性の立場が社会的にも広い範囲で認められており、出産、育児休暇など会社側の受け入れ体制や労働法の保護、共働きおよび出産後の子供の世話をする家族の理解や協力など、女性でも長く働ける環境が整っている事があります。このように、結婚や出産が女性を雇用する事についての妨げにならないため、タイでは結婚後も女性が仕事を続けるのが一般的です。出産後も、職業意識が高いタイ人女性は、社会復帰をするケースがほとんどです。出産休暇に関しても、労働法(第3章第41条)で定められている90日間の権利を使い切る女性は少なく、妊娠後もお腹が大きくなるまで仕事をした後に出産休暇を取り、1ヶ月から2ヶ月で職場復帰するケースが多いのが現状です。

Powered by Fact-link.
http://www.fact-link.com